慢性的な大腸炎の疾患として潰瘍性大腸炎があります。10代の子供に多くみられますが、最近は小さな子供にもみられるようになってきました。子供の 大腸炎 は本人にとって辛い症状が多く、精神面も含めた親の適切なケアが大切になる病気であると言えます。
子供の大腸炎は精神的なケアも大切な病気だと理解する
潰瘍性大腸炎とは
原因が特定できないのに、慢性的に消化管で炎症や潰瘍がみられる病気を「炎症性腸疾患」と呼びます。この炎症性腸疾患の代表的なものとして、潰瘍性大腸炎があります。潰瘍性大腸炎とは文字通り、大腸に潰瘍ができてしまうという病気です。
現在、潰瘍性大腸炎の原因ははっきりとは確定されていませんが、アレルギーやウイルス感染、異伝的要素も関係していると言われ、研究が進められています。食生活の欧米化も要因のひとつではないかと言われています。
潰瘍性大腸炎は、ゆっくりと進行していく病気です。潰瘍は点在してみられますが、大腸の部分のみに発症します。一か所の潰瘍が治っても、また別の部分に潰瘍ができることもあり再発を繰り返して、慢性化します。
潰瘍性大腸炎の症状
潰瘍性大腸炎の症状としては、粘結性の便や下痢、腹痛、体重減少、食欲不振などがあげられます。症状が進行すると発熱したり、貧血の傾向がみられたりするようになります。
潰瘍性大腸炎を発症している子供は、疲れやすく、だるさを訴える傾向にあります。10代の子供によくみられる病気のひとつですが、最近は小さな子供の発症も増えてきています。
10代の子供ではやる気がなかったり、疲れやすかったりするのは思春期の影響かと考えがちですが、潰瘍性大腸炎などの病気の可能性もあるということを親が知っておくことが大切になります。
4歳前後の小さな子供でも潰瘍性大腸炎を発症することがあります。よく下痢をして、粘血便が出ている時は病院を受診して、潰瘍性大腸炎の検査をしてもらうと良いでしょう。
潰瘍性大腸炎の検査
潰瘍性大腸炎の検査は大腸内視鏡検査と注腸検査で行います。内視鏡検査を行うと大腸の粘膜がざらついていたり、出血しやすい傾向にあったりするとともに大小の潰瘍やポリープがみられます。
注腸検査は腸を空っぽにした後に、お尻から造影剤を入れてX線撮影を行う検査のことです。この検査を行うと腸の壁の状態や腸の狭さなどを確認することができます。
潰瘍性大腸炎の治療
潰瘍性大腸炎の治療は、大きくふたつの方針に分かれます。ひとつは薬によって治療を行う薬物療法で、もうひとつは外科的な手術を行う手術療法です。
通常は、まず薬物療法を試みて改善をはかります。経過が思わしくない場合は、手術療法に切り替えて外科的な手術を行います。ですが、腸管から大量の出血があったり、腸に損傷があったりする場合は、すぐに手術を行うこともあります。
薬物療法では、腸の炎症を抑える薬を用いて潰瘍の原因を断っていきます。よく使われるのはサラゾビリンやステロイド剤などの薬で、内服によって効果を見ます。症状の程度によって、お尻から薬を入れる場合もあります。
手術療法では、大腸を切除して人工肛門をつけたり、結腸部分のみを切除したり、病気の進行の程度によって切除範囲が大きく異なります。
子供ならではの対処について
子供が潰瘍性大腸炎を発症すると、大人に比べて病変が広範囲に広がりやすく、重症化する確率が高いと言われています。潰瘍性大腸炎の子供の症例数がまだ少なく、臨床研究が難しいので、なかなか新しい治療法についての安全性や効果について確認がとれないのが現状です。
子供の潰瘍性大腸炎の治療では、成長障害が発生しないように十分注意することが大切となります。ステロイド剤などを大量に投与すると、身長が伸びる時期に十分な成長がみられない可能性があります。低身長は子供にとってその後の生活を大きく左右する問題となることもあります。子供ひとりひとりの身長や体重の成長のスピードを確認しながら、治療を行っていかなければなりません。
潰瘍性大腸炎は学校生活において大きな負担となる可能性があります。トイレとの関わりが深いことから、周囲の理解と協力が得られないといじめに発展することもあります。
本人はもちろん、親も学校の先生やカウンセラーなどと上手に関わりを持って、病気と向き合う必要があります。子供への精神的なケアも必要な病気であるということをしっかりと認識しておくことが重要です。
まとめ
子供の大腸炎は精神的なケアも大切な病気だと理解する
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎の症状
潰瘍性大腸炎の検査
潰瘍性大腸炎の治療
子供ならではの対処について