中耳炎 は大人にも子供にも起こる病気です。子供の耳は大人に比べて耳管が短いために、大人よりも簡単に鼻から耳へと細菌やウイルスが侵入して炎症を起こしやすい構造になっています。
急性と慢性の違いや深刻な合併症、聴覚への影響等、家庭で知っておきたい中耳炎の知識をまとめました。
カゼをひいたら要注意!子供の中耳炎
どんな病気?
私たちの耳は、耳たぶ側から外耳・鼓膜・中耳・内耳の順に成り立っています。中耳炎は、外耳とは鼓膜で隔てられている中耳に当たる部分に細菌やウイルスが侵入することにより、炎症が起こる病気です。
子供の耳は耳管が未発達で短いため、生後数か月の乳児から幼稚園児に特に起こりやすい病気です。
種類と原因
主に急性中耳炎、慢性中耳炎、滲出性中耳炎に分類されます。
急性はカゼと併発することが多く、他には肺炎球菌やインフルエンザ菌等が原因で起こります。よって、幼稚園や保育園などの集団でこれらの病気が流行ると急性中耳炎も増加します。
また、カゼをひいた子供の目が赤く結膜炎を起こしている時は中耳炎も疑って下さい。急性が3か月以上治らない場合は慢性と呼ばれます。
症状と合併症
急性の症状は、耳の強い痛み、聞こえがよくない、不快感等です。加えて、乳児の場合には発熱を伴うことがよくあります。まだ痛みを訴えることができないため、に機嫌が悪い、眠りが浅い、むやみに耳をいじる時は中耳炎を疑って下さい。
幼稚園児になると耳の痛み、ゴロゴロ感を大人に伝えることができます。また、テレビの音が今までよりも大きくなった、集中力が低下している、怒りっぽくなったと大人が感じる時も要注意です。
急性からまれに重い合併症が起こります。耳の周りの骨に感染すると激しい痛みが生じます。炎症が中耳から内耳に進むと内耳炎となり、めまいや聴覚低下等、より深刻な症状が起こります。
他には髄膜炎等が見られます。慢性の場合、急性と違って痛みはなく、難聴になったり耳から液体が出てきます(耳だれ、耳漏)。
また、滲出性は急性の後に起こりやすく、痛み等の炎症自体は治っても鼓膜の奥に滲出液が長い間たまった状態を言います。
診断・検査方法
医師による視診が基本です。耳鏡を用いて鼓膜の状態を観察し、赤みや腫れ、耳漏の有無を確認します。視診で診断できるため検査は必須ではありませんが、難聴の程度や有無を調べる聴力検査や鼓膜の動きの程度を調べるティンパノメトリーを行うことがあります。
薬物療法
軽い中耳炎の場合は抗生剤なしで治ることが多いため、発熱や痛みに対して解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェン)のみが処方されます。
症状が重い、長引いている、感染症が進む疑いがある場合はアモキシシリン等の抗生剤が必要になります。抗生剤を服用しても治らない場合は耐性菌が疑われます。速やかに医師に伝えて菌を増殖させないように注意して下さい。
手術療法
滲出性による液体には抗生剤や他の薬物療法は効果がありません。2、3か月位で自然に消えることも多いのですが、消えずにたまっている場合は鼓膜を切開し浸出液を取り除く手術が必要になります。
手術の際、切開した鼓膜に細いチューブを挿入して液体を排出する方法と、チューブを入れずに液体を除去(吸引)する方法があります。
なお、鼓膜は切開しても皮膚と同じように再生するので聴力低下、喪失の問題はありません。
通気療法
滲出性の治療に用いられます。鼻の穴から空気入れのような器具で中耳に空気を送って液体を取り除くように促進する方法(その際に患者は声を出すように指示されます)、細いチューブを鼻の穴から奥まで挿入して空気を送る方法があります。
数か月の通院が必要になることもありますが、痛みがなく乳幼児でも抵抗なく受けられるため、まずは通期療法を試しそれでも治らなければ手術をという考えの医師もいます。
まとめ
カゼをひいたら要注意!子供の中耳炎
どんな病気?
種類と原因
症状と合併症
診断方法
薬物療法
手術療法
通気療法