乳児から7歳頃までの子どもに起こりやすい肘内障は、いわゆる脱臼のことで一度起こすと再度繰り返すことが多いと言われています。肘内障は正しく整復すればすぐに治すことができます。
肘内障 について正しく知って、早急に処置ができるようにしてあげましょう。
繰り返し起こしやすい肘内障とはどのようなもの?
肘内障とは
肘内障とは、肘関節の骨と骨をつなぐ輪のようなじん帯から骨がずれたり、外れてしまったりしている状態のことです。
乳児から7歳ぐらいまでの子供に起こりやすい肘の脱臼で、正確には橈骨頭亜脱臼(とうこつとうあだっきゅう)と言います。小学生ぐらいになると骨の形が大人に近くなるので、脱臼は起こりにくくなります。
肘内障の症状
肘内障になると、肘が伸びきってだらりと下垂し、曲げることができなくなります。肘を曲げようとすると痛みが起こるため、子どもは肘を曲げるのを嫌がります。小さな子どもでは、片手を使わなくなることで親が気づくこともあります。
肘の外側に痛みがありますが、肩や手首などで放散痛(ほうさんつう)が生じることもあります。子どもは痛みの部位を正確に伝えることが難しいので、親は手首や肩が外れたと誤認することもあります。
肘内障は脱臼の一種ですが、完全な脱臼ではなく不全脱臼とも呼ばれます。脱臼の中では損傷が少ない比較的軽度のものであると言われています。
肘内障の原因とは
肘内障は急に手や腕を強い力で引っ張られたり、自ら転んで手をついたりした時に起こります。時には、自分で寝返りをうった時に腕がおかしな方向にねじれて、脱臼してしまうこともあります。
肘は橈骨(とうこつ)という骨で関節が構成されていますが、7歳ごろまではここが不完全な形になっています。橈骨を支える橈骨輪状靱帯 (とうこつりんじょうじんたい)から外れやすくなっているので、強い力が加わると簡単に脱臼を生じてしまいます。
肘内障はどのように治療するの?
肘内障は整形外科や整骨院などで徒手整復を行うことで治療します。片手で肘を正しく支えて、反対の手で脱臼した肘を曲げ、手の平を上に向けさせると「コリッ」という整復音が感じられます。正しく整復が行われると痛みがなくなり、肘を曲げられるようになります。
通常はすぐに腕を動かせるようになりますが、処置後に痛みを感じる場合は正しく整復が行われていない可能性があります。その場合、しっかりと肘を曲げることができずに痛みを訴えます。
正しい整復後、肘を曲げられるようになっても痛みがある場合は、関節のまわりのじん帯を損傷しているか、骨折していることがあります。
手を引っ張っただけでは骨折することはあまりありませんが、転んで手をついた際など衝撃が強かった場合は骨折の可能性も考え、レントゲン撮影などの設備が整った整形外科などを受診するようにしましょう。
幼稚園や保育園での保育中に転んだ場合などは、保護者が現場をみていないこともあります。小さな子どもは適切に事態を説明できませんので、ただの肘内障だと思い込まずに、骨折、じん帯損傷などの可能性を考え、適切な処置をしてもらえるところに行くようにすると良いでしょう。
子供が肘内障になったら
肘内障は一度起こすと、繰り返し起こしやすくなると言われています。脱臼しても正しく整復されると、痛みもなくすぐに肘が曲げられる状態になりますが、整復後、4~5日程度は再び脱臼を起こしやすいとされていますので、腕に強い力がかからないように気を付けてあげましょう。
習慣的に肘内障を繰り返している子どもは包帯やサポーターで固定してあげると効果がみられる場合もあります。幼稚園ぐらいになったら、肘が脱臼しやすいことを説明して、お友達と遊ぶ際には腕を強く引っ張る動作はしないように教えてあげましょう。
小さいうちは肘内障になりやすい子どもも小学校2年生を過ぎるころになると脱臼しにくくなっていきます。肘内障は成長とともに治っていく病気であることを知って、その場その場で適切な処置を行うようにしていけば安心です。
まとめ
繰り返し起こしやすい肘内障とはどのようなもの?
肘内障とは
肘内障の症状
肘内障の原因とは
肘内障はどのように治療するの?
子供が肘内障になったら