中耳炎は中耳と呼ばれる部分に細菌やウイルスが入って起こる病気です。子供は耳管が未発達で十分な長さがない上に、まだ角度が水平に近いために細菌が入りやすく、中耳炎になりやすいと言われています。
中耳炎 が 自然 に 治癒 することがあるというのは本当でしょうか。
中耳炎が自然治癒することがあるというのは本当ですか
中耳炎とは
ご存知のように耳は外側から内側に向けて、外耳、中耳、内耳という部分に分かれています。中耳炎とは耳の中耳に起こった炎症を指します。
中耳には耳管と呼ばれる空気の通り道があって、鼻から入った空気が出入りできるようになっています。鼻と通じているために細菌やウイルスも侵入してしまうのです。
中耳炎には急性中耳炎と急性中耳炎が3ヶ月以上治らない慢性中耳炎があります。また、急性中耳炎が治った後に中耳炎による炎症が原因で周辺の組織からしみ出した浸出液が溜まったままになることがありますが、これは滲出性中耳炎といって、子供に多くみられるものです。
急性中耳炎では耳痛、難聴、耳閉感、耳鳴り、発熱などの症状が出ます。大人では中耳炎で発熱することは少ないのですが、幼い子供は発熱することも多く、不機嫌になったり、食欲不振になるような場合もあります。
慢性中耳炎になると痛みはほとんどなくなり、難聴や耳だれが主症状になります。
滲出性中耳炎になるとボーっとして集中力に欠け、呼んでも返事をしないことがあって保護者が気づくことが多いと言います。子供の80%は滲出性中耳炎の自覚症状を訴えないと言われています。
中耳炎の治療
軽い中耳炎は医師の処方する解熱鎮痛剤で治ります。
中耳炎の原因になるのは肺炎球菌とインフルエンザ菌が80%であると言われていますので、重い中耳炎では抗生物質を服用することになります。昨今、耐性菌が多くなってきていますので、なかなか治らない場合は耐性菌を考慮に入れる必要があるということが指摘されています。
薬物で効果がみられない場合は鼓膜を切開して中耳に溜まっている膿や浸出液などを排出します。また、滲出性中耳炎では鼓膜切開をしてチューブを差し込んで、外耳と中耳の間に通路を作ることによって鼓膜の内側に溜まったものを数か月かけて排出させる鼓室内チューブ留置術が施されることがあります。
自然治癒する中耳炎とは
まず、上述したように、症状が軽い中耳炎は抗生物質や手術なしで自然治癒する可能性があります。主にかぜのウイルスや細菌が原因で発症する急性中耳炎は熱や痛みのピークを過ぎれば、自然治癒することがあると言います。自然治癒を待つ間に痛み止めだけを使用することが多いようです。
耳の奥に浸出液が溜まる滲出性中耳炎も7~10歳の子供がかかった場合、ほとんど自然治癒すると言われています。滲出性中耳炎で3ヶ月以上にわたって耳が聞こえにくい場合には耳鼻科での治療の継続が必要です。
中耳炎の治療に関する最近の動向
最近の研究で中耳炎は細菌だけでなく、ウイルスと細菌の両方に感染して発症することが明らかになってきました。抗生剤はウイルスには全く効果がありません。このため、抗生剤を使って細菌を死滅させたところで、ウイルスによる炎症は残ってしまいます。
中耳炎のほとんどが抗生剤の使用や鼓膜切開をしなくても自然治癒すると考えられている海外ではウイルスに抗生剤が効かないこともあって、抗生剤の投与や鼓膜切開を避け、過剰な治療を避けるという考え方が主流のようです。
20年ほど前から、オランダでは耳痛や発熱があるときには2日程度痛み止めを処方して経過観察をすると言います。それでもなお、耳痛や発熱が続いている場合に抗生剤が処方されますが、その割合は10%に過ぎないそうです。
抗生剤を飲み切ってもまだ耳痛や発熱が続くときだけ鼓膜切開をするわけですが、わずか1%だと言います。
我が国でもこのように、経過観察、抗生剤投与、鼓膜切開と順を追って治療していくことで、過剰な治療を避けようとする動きがあります。中耳炎が自然治癒するということは耳鼻科を受診せずに放置しておいても大丈夫だということではありません。
風邪をひく度に中耳炎になってしまうお子さんの場合、耳鼻科のかかりつけ医も必要です。保護者と連携して経過観察の上で、それぞれに適した治療を受けることが肝要なのです。
中耳炎が完治するには1~3ヶ月かかると言われています。自然治癒のためには他の病気と同様に体の免疫力を高めることが大切になってきます。栄養のバランスのとれた食事、質のよい睡眠などに対する配慮が必要です。
まとめ
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中耳炎の治療に関する最近の動向