子供が「お腹が痛い」と訴えてもすぐには重篤な病気とは考えにくいと思います。しかし 腸閉塞 の中にはすぐさま 手術 をおこなわないと命を落としかねないものもあります。親がきちんとした腸閉塞の知識がないと子供を危険にさらしてしまうかもしれません。
今回は腸閉塞を紹介します。
手術必至な腸閉塞は受診の遅延が命を危険にさらす結果に(前編)
腸閉塞とは?
通常、口から入った食べ物は食道をとおって胃に入ることで消化され栄養分と老廃物にわけられて小腸や大腸に運ばれて、最終的に尿や便として排出されます。
しかし何らかの理由によって、小腸や大腸の一部で内容物が詰まってしまった状態を腸閉塞といいます。イレウスとも呼ばれます。
腸閉塞のおもな原因として考えられるものとして暴飲暴食、腸同士または他の組織との癒着、ヘルニア、大腸がんなど別の病気です。癒着の場合は、おもに別の病気で回復手術をした場合がほとんどです。そして生まれつき腸が変形している場合も考えられます。
また腸閉塞の種類によって、原因となりうる病気も異なってきます。腸閉塞は機械的腸閉塞と機能的腸閉塞があります。
機械的腸閉塞には単純性腸閉塞と絞扼性(こうやくせい、または複雑性)腸閉塞があり、機能的腸閉塞には麻痺(まひ)性腸閉塞と痙攣(けいれん)性腸閉塞があります。
機械的腸閉塞の中でも単純性腸閉塞とは、別の病気で開腹手術をおこなった後に腹壁と腸が癒着を起こすことによって腸がねじれたり曲がったりする腸障害が発生した状態をいいます。
単純性腸閉塞は別の病気の一つの症状としてあらわれる場合もあります。もっとも危険な病気としては大腸がんです。大腸がんの腫瘍が大きくなることで腸を押して変形させてしまい、内容物の通行の妨げをしてしまうのです。
機械的腸閉塞の中でも絞扼性腸閉塞は、腸管に血管と神経を導く働きがある腸間膜(ちょうかんまく)と呼ばれる腹腔内の腸管を保持している膜があります。腸間膜が癒着してしまうことで腸のねじれや締め付けができてしまい血流障害が発生した状態を指します。
血流が妨げられることで腸管が壊死してしまい、最悪の場合命を落とす恐れもあるとても怖い病気です。絞扼性腸閉塞は、はじめは単純性腸閉塞だったものが徐々に症状が進行して悪化した場合に起こる可能性もあります。
機能的腸閉塞の中の麻痺性腸閉塞とは、腸管の構造や形態的な問題はなく、何らかの開腹手術歴がある、急性腹膜炎、腹腔内の出血、脳梗塞歴がある、また薬剤などが原因で腸管の麻痺が発生する閉塞です。
同じく機能的腸閉塞の中の痙攣性腸閉塞とは、麻痺性腸閉塞と同様に腸管の構造や形態的な問題はなく、虫垂炎、ヒステリー、また日本では例がほとんどないものの鉛が原因となり腸管の痙攣が発生する閉塞です。
腸閉塞の中でもおもに血流障害があるものについては手術が必要とされていますが、通常手術の必要がないとされる種類の腸閉塞でも、閉塞状態が激しい場合は緊急手術となる場合もあります。
まとめ
手術必至な腸閉塞は受診の遅延が命を危険にさらす結果に(前編)
腸閉塞とは?