「手術必至な腸閉塞は受診の遅延が命を危険にさらす結果に(前編)」では、腸閉塞の種類をお伝えいたしました。後編では、腸閉塞の症状や治療法についてお伝えいたします。
絞扼性 腸閉塞 だった場合は閉塞、または壊死した腸管を切除するための緊急 手術 が必要となります。
手術必至な腸閉塞は受診の遅延が命を危険にさらす結果に(後編)
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腸閉塞の症状はどういったもの?
いずれの腸閉塞もおもな症状としては激しい腹痛、嘔吐、脱水、膨満感、吐き気などです。頻脈、発熱、尿や排便がでなくなったりすることもあります。また便が出ても下痢だったり、下血を伴なったりする場合もあります。
絞扼性腸閉塞も代表的な症状は単純性腸閉塞と同じようなものですが、異なる部分はその症状の出方です。血流が滞ってしまうことによって急激に腹部の激痛がおこり、激しい吐き気や嘔吐をします。
血流障害はさまざまな臓器にも影響をもたらしてしまうため多臓器不全などを起こす可能性もあります。
腸内の内容物がとどまって腸閉塞を発症しているにもかかわらず、自身で単なる便秘と判断してしまい下剤を飲んでしまった場合、強制的に排便を促す作用が働き、激しい腹痛をはじめとした腸閉塞の症状がより一層強く出てしまう危険性があります。
はじめは軽度な腸閉塞だったにもかかわらず、自己判断によって悪化させてしまい手術が必要になってしまう可能性もあるのです。
腸閉塞に関わらず、長期的に続く便秘はほかの重篤な病気の症状の一部にすぎない可能性もあります。安易に自己判断ですませるのではなく、一度病院を受診することをお勧めします。
治療方法とは?
診察段階ではまず「開腹手術経験があるか?」などのほか、細かい病歴の確認をおこないます。そして鼠径部(そけいぶ)の視触診をおこない、問題があった場合は鼠径ヘルニア(脱腸)、または大腿(だいたい:足の付け根から膝までの部分)ヘルニアを疑う必要があります。
腸閉塞の場合、別の病気が原因となっている可能性も高いため、病原を探り、その病気治療も必要となるのです。
そのほか腸内のガスの量や聴診器にて腸の活動量を確認すると共に、腹部レントゲンや腹部CTをおこなって、腸閉塞の発生箇所を特定します。また血流障害の可能性が考えられる場合は造影剤を使っての検査がおこなわれます。
治療としては、単純性腸閉塞の場合は詰まった内容物の吸入と腸管の減圧をおこないます。単純性腸閉塞など軽度の腸閉塞の場合は、イレウス管というものを腸内の閉塞部分にとおすことにより腸のねじれや狭窄を戻します。
また嘔吐などによって脱水症状が見られた場合は輸液をおこない、感染症を避けるために薬剤の点滴の必要があります。治療中は絶食、絶飲を勧められることがほとんどです。一般的に救急車を呼ぶことに抵抗を感じる人たちは多いと思います。
しかしもし激しい腹痛や嘔吐、吐き気など腸閉塞を疑う様子があった場合は、ためらわずにすぐに救急車を呼ぶようにしましょう。絞扼性(こうやくせい)腸閉塞は血流障害が発生する病気のため、最悪の場合命を落としてしまう危険性もあります。
絞扼性腸閉塞だった場合は閉塞、または壊死した腸管を切除するための緊急手術が必要となります。また麻痺性腸閉塞でも腹膜炎を併発してしまうことが考えられるため手術を必要とする場合があります。
如何に早く治療をおこなうかによって、命を救えるかどうかというわかれ目になるのです。とくに患者が上手に痛みを訴えられない年齢のころの子供の場合、「お腹が痛い」や「ずっとうんちがでない」程度の訴えでは、恐らく親としては重篤な病気とは判断しないでしょう。
だからこそ腸閉塞という病気をしっかりと理解したうえで、前述の症状がいくつか当てはまった場合は、緊急性を察し、すぐに病院を受診するよう心掛けましょう。
まとめ
手術必至な腸閉塞は受診の遅延が命を危険にさらす結果に(後編)
腸閉塞の症状はどういったもの?
治療方法とは?