腸閉塞 は突然始まり、24時間以内に 死亡 するケースも珍しくない、大変緊急性の高い病気です。子供がお腹を痛がった場合、その様子が尋常でないと感じたら、迷わず受診しましょう。
しかし、受診しても医師によっては腸閉塞を発見できない場合もある、難しい側面もあるのです。
死亡例も多い腸閉塞、知って早めの対処を。
腸閉塞の死亡率
腸閉塞での死亡率をパーセンテージで表すと6~7%となり、それほど高いものには感じられません。というのも、発見が早く、適切に処置をすればほぼ100%に近い確率で助けられる病気だからです。
しかし、残念ながら腸閉塞を発症して亡くなった方は、周囲の発見が遅れた、病院へ行くのが遅れた、医師が発見するのが遅れたなど、なにかしら対処が遅れたことが原因となっているのです。
お子さんが痛がる様子がいつもと違う場合には、早めに治療に取り掛かれるよう、医師が発見しやすいよう、腸閉塞の検査をしていただくように働きかける勇気を持つことも、親御さんには必要となります。
腸閉塞の死亡例
小児の腸閉塞での死亡例を紹介します。もしも、お子さんの様子をみてあてはまるものがあれば、詳しい検査をお願いしてみましょう。
あるご夫婦の1歳9カ月のお子さんを例にみてみましょう。このご夫婦のお子さんは、2015年4月14日に「絞扼性イレウス」と診断され、緊急手術をするものの、20日には他界しています。ご両親がお子さんの異変に気付いたのは、4月12日の早朝、すぐに入院して14日に手術をしましたが、20日に急変し死亡しました。
このお子さんの場合は発見してすぐに入院、手術と、処置は適切だったようですが、残念ながら亡くなってしまいました。
小児の場合急変することも多いため、早い発見、早い対処だけでは救えない場合があるという実例のようにも感じられます。
次に、3歳の女児のケースです。ある日のお昼頃、腹痛を訴え嘔吐があったため、病院を受診するも、「流行中のウイルス性胃腸炎」と診断されて投薬の上、帰宅します。
自宅では7回の嘔吐があったため、夜8時30分、急患センターを受診しました。小児科医にかかりましたが、急性胃腸炎の診断を受け点滴の処置を受けます。その間も血液交じりの液体の嘔吐があり、顔色は蒼白で手足が冷たかったようです。
次の日まで点滴の処置を続けますが、翌日の午後12時頃に心肺停止となりました。この病院には設備が整っていなかったため、転院し、転院先の病院で午後16時過ぎに死亡が確認されました。
腸閉塞は、「何らかの原因で腸が詰まる病気」です。そのため、その原因は、絞扼性イレウスや、腸重積の他に、ひどい便秘により便が詰まることで腸閉塞になり、死亡したケースもあります。このような症状を「糞便性イレウス」といいます。
次のケースは21歳の女性に起こった便による腸閉塞の死亡例ですが、酷い便秘のお子さんには、早めに便を排出させてあげられるように対処する必要があります。
1998年、21歳の女性会社員の例ですが、この方の便秘は1年ほど続いており、市販の薬を飲んではいたものの、通院はしなかったようです。死亡した日は会社を休み、自宅療養をしていましたが、二日前までは普通に仕事をしていました。
死亡の前日は風邪の症状と腹痛を訴えていたようで、食事は摂らなかったようです。トイレの前で倒れていることろを帰宅した弟がみつけたのですが、肛門から便をかきだそうと一生懸命もがいた痕跡があり、非常に苦しんで亡くなったようです。
司法解剖の結果、お腹は出産直前かと思われるほど膨らんでおり、腹内には6.7kgもの便がたまっていました。
腸閉塞がなぜ死亡に至ってしまうのか。
腸閉塞の中でも特に絞扼性イレウスは、医師の世界では、開腹手術を経験したことがある子供にかかりやすいと考えられており、手術歴のない子供が強い腹痛を訴えても、ただの腸炎と判断されてしまうことが多くあります。
特に絞扼性イレウスは小児科医のテキストに取り上げられないほど子供の罹患率が低いために、罹患した場合の死亡率は高いのにも関わらず見逃されてしまうのです。
反面で「腸重積」という腸閉塞にかかった場合は、こちらは小児に多く見られる腸閉塞のため、、小児科医は注意深く発見して処置をしようとします。そのため発見してもらえることも多く、死亡にまで至ることは絞扼性イレウスほど多くありません。
どちらの場合にも、腸が塞がり、血流が途絶えることにより、腸が腐り敗血症となり死亡に至りますが、正しい処置で多くの命が救えていることもまた事実です。
まとめ
死亡例も多い腸閉塞、知って早めの対処を。
腸閉塞の死亡率
腸閉塞の死亡例
腸閉塞がなぜ死亡に至ってしまうのか。