腸閉塞は子供が発症しやすい病気のひとつです。時には命を脅かすこともある腸閉塞の症状について深く知ることは、重症化を防ぐ手立てになります。腹痛や嘔吐といったありふれた症状でも 腸閉塞 の可能性を考え、注意深く観察することが非常に大切です。
命を脅かすこともある腸閉塞について理解を深めることが大切
腸閉塞とはどのようなもの?
腸閉塞は腸のある一部分が狭くなったり、腸がうまく働かなくなったりして、腸の中に入ってきた食べ物などをスムーズに排出できない状態になる病気です。イレウスとも呼ばれます。小さな子供の場合は、先天的に十二指腸や胃などが閉塞していることもあります。
腸閉塞は子供の発症率が高い病気で、命に関わることもある重い病気です。俳優のオダギリジョーさんと香椎由宇さん夫妻の子供が絞扼性(こうやくせい)腸閉塞で亡くなったことは話題になりました。
腸閉塞を発症したら病院での治療が必要となります。発症のサインを見逃さず、早急に受診することが非常に重要です。
腸閉塞の種類
腸閉塞は原因によって、大きく二つに分類されます。機械的腸閉塞と機能的腸閉塞です。
機械的腸閉塞とは、腸の内側がなんらかの物理的な要因によって食べ物などがスムーズに通過できない状態に陥っていることを指します。機械的腸閉塞は「単純性腸閉塞」と「絞扼性腸閉塞」という二つに分類されます。
単純性腸閉塞は癒着のために腸が曲がることなどが原因で発症します。絞扼性腸閉塞は腸と腸の癒着によって、腸がねじれることで血流障害が発生して起こります。腸重積などが原因となって血流障害が起こると、腸に血液が行きわたらなくなり、腸自体が壊死してしまうこともあります。
機能的腸閉塞は、機械的腸閉塞とは違い腸の内側が狭くなるのではなく、腸の機能が正常に働かなくなり、食べ物などをスムーズに通過させることができない状態になることです。
腹部の手術や脳梗塞などによって、機能的腸閉塞が発症することがあります。
腸閉塞のあらわれ方
腸閉塞は腹痛や腹部の膨満、嘔吐などが症状としてあらわれます。下血がみられることもあります。
小学生以上の子供では、腹痛や腹部膨満などもあらわれますが、嘔吐が多くみられる症状となります。嘔吐だけを訴える症状では、他の病気との識別は難しくなります。
腹痛があるときは疝痛発作(せんつうほっさ)という特徴的な痛みを訴えます。これは激しい痛みがある時と痛みがおさまる時が繰り返し起こる状態です。
嘔吐は、はじめのうちは白から透明な酸っぱい液体の胃液や黄色をした苦みのある液体の胆汁を戻します。症状が進行すると小腸や大腸の内容物が逆流してきて、嘔吐します。
ここまで進むと下痢状の色をしたもので便の臭いがあるものを嘔吐します。激しく嘔吐すると一時的に腹痛がおさまることもあります。
絞扼性腸閉塞の場合は、腸がねじれて激しい腹痛となってあらわれます。顔が蒼白になり、冷汗などもみられます。ショック状態になることもあり、緊急手術となることもあります。
腸閉塞の治療方法とは
腸閉塞は腹部X線検査、エコー検査、血液検査、CT検査、内視鏡検査などによって、まずはどこで腸閉塞がどのように起きているかを確認します。
原因がわかったら、原因に対応する処置を施します。絞扼性腸閉塞では、緊急手術が必要となりますので、速やかに腸閉塞の原因を確認することが非常に重要になります。
絞扼性腸閉塞以外では、保存的治療として飲食を中止し、胃腸を休めます。腸のつまりがひどい時は、鼻から腸に管を通して、詰まっているものや溜まってしまったガスを抜いていきます。腸の中の圧力がもとに戻ると、腸の状態も正常に戻るようになります。
絞扼性腸閉塞では、癒着した腸をはがし、血流の回復を試みます。病状が進行していたり、手術のタイミングが遅れたりすると、腸が壊死してしまうこともあります。その場合は壊死した部分の腸を切り取り、腸をつなぎ合わせることで治療を行います。
腸閉塞を引き起こさないために
腸閉塞の予防として大切なことは腸の中をきちんと循環させるようにするということです。定期的な排便習慣で腸の中を滞留させないようにしましょう。
また、腸閉塞を繰り返す子供の場合は、不溶性の食物繊維を摂りすぎないように注意します。ごぼうやぜんまい、おくらなどはあまりたくさん摂らないように心がけて、食べる時はしっかりとよく噛むように指導しましょう。
また、運動も大腸の活動を活発にする手助けをしてくれます。体を動かすことの大切さを教えて、運動の習慣をつけると良いでしょう。
まとめ
命を脅かすこともある腸閉塞について理解を深めることが大切
腸閉塞とはどのようなもの?
腸閉塞の種類
腸閉塞のあらわれ方
腸閉塞の治療方法とは
腸閉塞を引き起こさないために