胃炎とならんで、腸炎も消化器系の病気の中ではよくおこる病気です。腸炎とは、胃の粘膜に炎症が起きた状態をいいます。腸炎には、原因や発症部位の違いによってとても多くの種類があります。
ここでは、それぞれ異なる 腸炎 の 症状 についてお知らせします。
腸炎の種類とその症状について
感染性腸炎
細菌やウイルス、寄生虫などが腸に感染して引きおこすのが感染性腸炎です。多くの場合は飲食物を通して病原体が体内に入りますが、ペットや人からの感染例も報告されています。
症状としては、発熱に伴い、下痢、嘔吐、腹痛が一般的です。ウイルスが原因の場合は、吐き気と嘔吐症状が強くあらわれます。熱はあまり高くなく、ほとんどの場合は微熱で、血便はでません。細菌性の腸炎の方が重篤な症状があらわれます。
O-157の感染による腸炎では、多くの場合、血便の混ざった下痢が出ることが特徴です。感染性腸炎の場合、ほとんどの症状は長く続きません。しかし、寄生虫が原因による腸炎では、下痢症状が長期間にわたりあらわれる場合があります。
神経性腸炎
レントゲンや内視鏡によって腸内の検査でみつかるような形態的な異常がなく、腹痛や排便の異常のような腹部症状がある場合、神経性腸炎の疑いがあります。ストレスを感じることによって腸が正常に運動をしなくなりひきおこされます。
虚血性大腸炎
腸の血流が悪くなり、腸に十分に栄養が届かなくなることが原因で発症します。大腸の粘膜がむくんでただれていき、突然、強い腹痛がおき、下痢や下血をひきおこします。冷や汗や吐き気も主な症状で、発熱を伴う場合もあり、左下腹部に強い痛みを感じることが特徴です。
ほとんどの場合は数日で回復しますが、1週間以上症状が続く場合は腸の狭窄をおこしている可能性があります。重症化すると潰瘍ができ、潰瘍性大腸炎に進行したり腸が壊死して腸管に穴があいたりする場合もあり、大変危険です。
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜の層に炎症がおこり、びらんや潰瘍ができる病気です。腹痛がよくおこり、下痢をします。下痢とともに下血がある場合とない場合があります。症状がよく出る活動期と、症状がまったく出ない寛解期をくり返します。
多くの場合はゆっくりと進行して慢性化していきますが、稀に劇症的に発症し、危険な状態になる場合があります。病気が進行すると全身の倦怠感や体重減少などの症状があらわれます。
病気は、直腸あたりから始まり、口側に向かって広がっていき、最後には直腸から結腸全体に病部がひろがります。
薬剤起因性腸炎
病気治療の目的で服用した医薬品の副作用によっておこる腸の病気を薬剤起因性腸炎といいます。薬剤の影響で腸管に炎症がおき、腹痛、下痢、下血などの症状があらわれます。
抗生剤が原因でおこる腸炎が多く、偽膜性腸炎と出血性腸炎に大別されています。偽膜性腸炎は抗生剤を長期間投与する高齢者に多く、抗生剤を投与してから5~10日後に水のような下痢が症状としておこります。
そのほかの症状には、下腹部の鈍い痛みや腹部の膨満感があります。発熱はあってもあまり高くなく、下血の症状も多くはありません。出血性腸炎は若年層に多くみられます。
ペニシリン系の抗生剤を投与した3~4日後に、急激な腹痛がおきます。血性の下痢もありトマトジュースのような便が出ます。
放射性腸炎
卵巣がんや前立腺がんに対して放射線治療を行った場合の副作用としておきる腸管の病気です。放射線が腸の細胞に悪影響を与え、腸管粘膜が壊死してしまうために発症します。
放射線治療を受けて2~3か月以内におこる早期障害と、6か月~1年以上たってからおこる晩期障害があります。
早期障害の症状には、吐き気、嘔吐、下痢、下血、腹痛、腹部のけいれん、倦怠感、食欲不振があげられます。放射線治療を終えると、2~3週間ほどで自然に腸炎の症状も回復するとされています。
晩期障害の症状には、吐き気、嘔吐、持続的な下血、腸の強い炎症、潰瘍、体重減少などがあげられます。早期障害に比べて、病変が胃粘膜から腸管全体に広がり、症状が重いことが特徴です。稀に、大量出血や腸閉塞をおこす場合があります。
まとめ
腸炎の種類とその症状について
感染性腸炎
神経性腸炎
虚血性大腸炎
潰瘍性大腸炎
薬剤起因性腸炎
放射性腸炎