「ストレスは大人だけ」とは昔のことで、今や低年齢の子供もさまざまなストレスを抱えるようになってきているというのです。 腸炎 という下痢や腹痛、嘔吐などが主 症状 である病気の原因としても ストレス が関わっているそうなのです。
今回は子供の腸炎を紹介します。
下痢や腹痛症状の腸炎はストレスが原因の可能性も! (前編)
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腸炎とは?
腸粘膜において炎症が起こる状態を腸炎と言います。
ウイルスが原因で起こる腸炎のウイルス性胃腸炎、細菌が原因で起こる細菌性胃腸炎があります。
それ以外に細菌やウイルス感染などの問題がないにも関わらず、心理的問題で腸炎をもたらす過敏性胃腸炎があります。
以前は大人が仕事や人間関係のストレスから過敏性胃腸炎に罹患するものと考えられていましたが、近年では中学生や高校生、早い子は小学生がストレスを原因で連日の腹痛や便秘、吐き気、頭痛などの症状を起こす場合が増えているそうです。
症状別腸炎にはどのようなものがある?
腸炎は原因が細菌かウイルス、またはそれ以外のものかによって種類がわかれます。
感染性胃腸炎には乳幼児にもっとも罹患者が多いと言われているロタウイルス胃腸炎、食中毒として分類され毎年15,000人前後の罹患者数があるノロウイルス胃腸炎、扁桃腺やリンパ腺を意味するアデノウイルスが原因のものなどがあります。
ロタウイルスは子供が発症する腸炎の中でも幼児期までに大半の子供達が罹患すると言われているもっとも代表的な腸炎の一つです。
しかしその一方で重症化もしやすく入院の必要が出る可能性もあり、世界各国で多くの死者も出ている腸炎の一つのため注意が必要です。
命を落としているのは主に発展途上国ではあるものの、先進国でも感染を防ぐことは非常に難しいと言われています。
発症のピークは冬から特に春先が多いと言われています。約2日の潜伏期間があって腹痛や嘔吐の症状が特に激しく、発熱や下痢があります。
この胃腸炎でもっとも顕著な症状としては白い水様便が出るということです。
A、B、C群など7種類の分類があり、嘔吐下痢症の原因のほとんどがロタウイルスと言われています。
ノロウイルス胃腸炎は主に二枚貝から感染すると言われています。
しかしほとんどの場合、ウイルスに冒された二枚貝を直接口にして発症すると言うよりも、既に発症した人の便や吐出物、使用した食器やタオルなどを介して感染する場合が多いと考えられています。
潜伏期間は1日から2日で、熱はほとんど出ないものの、嘔吐、腹痛、下痢症状が出ます。
アデノウイルスはいわゆるプール熱と呼ばれている病気です。夏場が発症のピークとなります。
潜伏期間は5日から7日あり、代表的な胃腸炎の腹痛、下痢、嘔吐以外に、38度から40度程度の高熱が続くと共に、扁桃腺を意味するアデノの腫れや結膜炎などが顕著な症状です。
重症化すると脳症などに発展する可能性がある病気のため、症状が出たらすぐに病院でみてもらいましょう。
そして細菌性胃腸炎には鶏肉から検出されることの多い細菌であるカンピロバクター腸炎、O-157という呼び名で広く知られている腸管出血性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ブドウ球菌、毒素の強いボツリヌス菌や血便を伴う場合もあるサルモネラ菌などがあります。
カンピロバクター腸炎の原因菌であるカンピロバクターは食用として卸される家畜の腸内に保菌されているものです。
そのためそれらの肉の生焼け状態やレバー、また調理で使用した器具などから感染する可能性が高いといわれています。
厚生労働省の調べではカンピロバクター腸炎の罹患者は毎年2,000人前後います。
潜伏期間も1日から7日と比較的長めで、症状としてはほかの腸炎と同じようなもので下痢や腹痛、吐き気、頭痛などがあります。
この腸炎の特徴としては重症化するとギラン・バレー症候群を発症する可能性があるとうことです。
ギラン・バレー症候群は筋肉などの運動神経に異常を来し、歩行障害などの手足の筋力低下などが起こる病気です。発生のピークは真夏ではなく初夏や秋口になります。
腸管出血性大腸菌や病原性大腸菌と呼ばれるO-157は、日ごろ人間に住みついていて悪さをしない常在菌です。しかし病原性遺伝子と結びつくことで有害な菌へと姿を変えます。
強力な毒素をもつベロ毒素を作り出すことで、強い感染力と出血を伴う下痢、下腹部の激しい腹痛などの強い症状が出て、脳症や急性腎不全を起こし、最悪の場合命を落としかねない怖い菌です。
潜伏期間4日から9日と言われています。レバー刺しなどの生肉類や加工食品、井戸水などから感染すると考えられています。
湿気の多くなる6月ごろから真夏がもっとも菌が繁殖しやすいと言われています。腸炎ビブリオは海水中に生息する細菌で、この細菌に冒された魚介類を口にすることで感染します。
特に刺身や寿司など生で食べる場合は注意が必要です。潜伏時間は約8時間から24時間で、非常に激しい腹痛、下痢症状を伴います。
海水に近い塩分濃度になり水温が高くなることで繁殖しやすくなる菌です。加熱により死滅するため、腸炎ビブリオのピークである夏の時期には、魚介類は過熱した状態で食べることをお勧めします。
サルモネラ菌が原因の腸炎は、ペットや家畜の排泄物、食品では主に生卵自体や卵の殻に付着する菌から感染する可能性が高いと考えられています。
日本は生卵を食べる文化があるため、どうしても感染率としては高くなってしまいます。
腸炎の代表的な主症状以外に粘液と血が混ざった便がでる場合もあります。
また成人以外は重症化する可能性もあり、子供の場合意識障害やけいれんなどにつながる危険性もあります。
そしてもっとも原因が追及しにくい腸炎が過敏性胃腸炎になります。腹痛や下痢、嘔吐、便秘、吐き気などがあるものの、腸自体に炎症などの異常は見られない状態です。
主に大人が仕事や人間関係での精神的ストレスにより自律神経がうまく働かず消化機能などに影響を及ぼした結果腸炎をもたらすというものです。
しかし近年ではストレスが原因となる過敏性胃腸炎の罹患者は精神的にも過敏な時期でもある思春期だけでなく、小学生など低年齢化しているというのです。
子供の過敏性胃腸炎の原因であるストレスの1つめは学校で自由にトイレに行けないということです。トイレに行くという行為自体が恥ずかしく抵抗を感じるというのです。
休み時間も含め、登校中は1度もトイレに行かないという子供が増えているそうです。
そのために便意を我慢することが慢性的となり、我慢するほどストレスが自律神経の働きに悪影響を及ぼし、結果的に下痢や膨満感、便秘などの症状である腸炎を発症し、慢性化もさせてしまうのです。
子供のストレス原因の2つ目は集団生活です。子供にとって初めての集団生活である保育園や幼稚園では不安はたくさんあるものの、先生をはじめ多くの大人達の見守る中で友人関係が保たれている時期です。
しかし小学生以降は大人の目の届かないところで、子供達だけで関わる時間が非常に増えます。それは同時にさまざまなトラブルも多いということです。
トラブルを避けるために自身の主張はできる限り抑えた行動、言動で友人関係を保とうとすることは精神的にも非常にストレスを感じます。
まとめ
下痢や腹痛症状の腸炎はストレスが原因の可能性も! (前編)
腸炎とは?
症状別腸炎にはどのようなものがある?