子供の 蓄膿症 は、顔面の構造が未熟なことが 原因 で発症しやすく、繰り返しやすい性質があります。放置したままでは、深刻な合併症を引き起こし、集中力の低下などメンタル面にまで影響を及ぼします。悪化すると命を脅かす危険性もあるのです。
子供の蓄膿症の原因は未熟な顔面構造とアデノイド肥大?
蓄膿症とは
蓄膿症とは、風邪や鼻炎などが悪化し慢性化した状態をいいます。正式には慢性副鼻腔炎といいます。鼻詰まりや鼻水が2~3ヶ月続いていたら蓄膿症の可能性が高いでしょう。では、どのような状態を蓄膿症というのでしょうか?
顔の骨には副鼻腔と呼ばれる空洞があります。この副鼻腔は眼と鼻を取り囲むように存在し、小さな穴(自然孔)で鼻の中(鼻腔)と繋がっています。通常、副鼻腔内には空気があります。
一方、蓄膿症の副鼻腔内は腫れたり膿が溜まったりしており、自然孔も腫れて狭くなります。粘膜が腫れ、キノコ状に垂れ下がる鼻茸もよく現れる症状のうちの1つです。
蓄膿症(慢性副鼻腔)と急性副鼻腔炎の違いについてもみておきましょう。急性副鼻腔炎の場合、風邪などに伴い発症することが多く、発熱や鼻詰まり、色のついた粘り気のある鼻水、顔の痛みや頭痛などの症状があります。
一方、蓄膿症は発熱や顔の痛みなどはなく、鼻水も粘り気はありますが急性副鼻腔炎ほど濃い色はしていません。両方に共通して起こることに粘り気のある痰が喉に落ちるという症状(後鼻漏)があります。
副鼻腔における換気の必要性
先ほど急性副鼻腔炎は風邪などの細菌感染が原因になることが多いと述べましたが、蓄膿症は原因が複雑です。基本的には、副鼻腔と鼻腔を繋ぐ小さな穴の連絡口が腫れて狭くなっていることから副鼻腔内の鼻汁が排出しにくくなり膿が溜まった状態になることが原因になります。
副鼻腔内に膿が蔓延り、換気が悪くなった状態が蓄膿症です。副鼻腔内の換気が悪くなる原因とは何でしょうか?
主な原因は以下のとおりです。
- 長引く風邪
- 風邪の繰り返し
- アレルギー性鼻炎など鼻のアレルギー
- 鼻の極端な湾曲
- 大気汚染による炎症
- 偏りのある食事
- ストレスによる粘膜の腫れ
- 寝不足
子供の蓄膿症の可能性
子供の蓄膿症は「小児性副鼻腔炎」といわれます。骨格や筋肉が未発達なことに原因があるため成長と共に治ることもあります。
また子供の場合、大人と違って自分の病状をなかなか上手く伝えられません。特に乳幼児の場合は自分自身でも現状が分かっていない為、不快感に対してのイライラから愚図りや夜泣きが酷くなったりすることもあります。
蓄膿症の兆候
- いびき
- 口呼吸
- 鼻声
- 口臭
- 目やに
以上のような症状が出た場合は、早めに病院を受診しましょう。
蓄膿症の低年齢化の背景?
先ほども触れましたが、子供の副鼻腔は未発達で小さい為、炎症を起こしやすいことから副鼻腔炎になりやすいです。
しかし慢性化する蓄膿症が増えている背景にはアレルギー性疾患の増加が原因として指摘されています。アレルギー性疾患を持つ子供の副鼻腔や鼻腔は腫れている状態にあることが多く、副鼻腔と鼻腔を繋ぐ自然孔も狭くなる傾向にあります。
子供の場合、鼻と喉の奥にあるアデノイドと呼ばれるリンパ組織がさまざまな原因により大きくなります。5~6歳前後で最も大きくなり、その後徐々に小さくなる傾向にあります。
このアデノイド肥大により鼻水の通りが悪くなります。以上のような要因が絡まり合い蓄膿症を引き起こしやすくするのです。
合併症
蓄膿症からくる合併症として、咽頭炎(クループ)や気管支喘息、頭痛、臭覚異常、中耳炎などがあげられます。また子供の場合、集中力の低下から学習障害を引き起こすこともあります。
酷くなると中耳炎から難聴になることや、睡眠時に血液内の酸素量の低下から脳にダメージを引き起こすこともあります。心不全や肺高血圧症など命を脅かす状態にまで至ることもあるのです。
上記だけでなく蓄膿症からくる合併症はたくさんあります。また厄介な症状も多いです。日ごろから症状を見逃さないようによく観察することで、重度の合併症を引き起こさないようにし、早期発見を心掛けましょう。
自宅でのケア
蓄膿症の治療法は、基本的には鼻の洗浄や吸引、鼻の粘膜に直接薬を噴射するネブライザー療法、抗生物質や抗アレルギー剤などの内服療法が行われます。酷く進行した場合は手術も考えられます。
基本的に子供も同じ治療法ですが、子供の場合、副鼻腔の未熟さやアデノイド肥大により発症しやすく治りにくいことがありますので、長期に渡り内服療法を行うことは望ましくありません。
大切なのは、自宅でのケアになります。鼻水を溜め込まないようにしっかり鼻水を出す習慣を付けさせましょう。また、自動鼻吸器や塩水を使った鼻の洗浄器も効果がありますので、上手く活用し、鼻を清潔に保つ習慣を付けて下さい。
まとめ
子供の蓄膿症の特徴と対処法
蓄膿症とは
副鼻腔における換気の必要性
子供の蓄膿症の可能性
蓄膿症の低年齢化の背景
合併症
自宅でのケア