慢性的な副鼻腔炎を 蓄膿症 と呼びます。風邪をひいた後には蓄膿症に移行しやすいということを理解し、鼻水を適切に処理する必要性を子供に教えてあげましょう。上手に鼻がかめるようにすることは副鼻腔炎の発症を防ぐ手立てになります。
子供の蓄膿症の症状を知ることが早めの対処につながる
副鼻腔炎と蓄膿症
副鼻腔炎とは、副鼻腔という空洞部分に細菌が感染し炎症を起こす病気です。
副鼻腔は頬の奥にある「上顎洞(じょうがくどう)」、目の内側部分にある「篩骨洞(しこつどう)」、目の上の部分にある「前頭洞(ぜんとうどう)」、篩骨洞の奥にある「蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)」に分かれています。
一言で副鼻腔炎と言っても、痛みが出る場所は様々です。副鼻腔炎は急性のものと慢性のものに分かれ、慢性副鼻腔炎となってしまったものを蓄膿症と呼んでいます。
近年、子供が風邪をひくとすぐに内科や小児科を受診して風邪の治療を早期に開始する場合が多いので副鼻腔炎になっても早めに治ることも多くなっています。
ですが、子供の蓄膿症の数自体は減っていないと言われています。アレルギー性疾患を持つ子供は蓄膿症になりやすいとも言われており、一度かかると再発を繰り返すというケースも多いのが現状です。
子供の蓄膿症のあらわれ方とは?
鼻づまりがひどくなり、副鼻腔に痛みを生じます。どこの副鼻腔が炎症を起こしているかによって痛みが生じる部位が変わります。
おもに頬や目の上下といった顔に痛みを感じますが、「蝶形骨洞」で炎症が起きると頭が痛いと訴えます。目の部分に炎症が起きるとまぶたが腫れることもあります。鼻づまりがひどくなるので、口呼吸が増え、いびきをかくこともあります。
大人の蓄膿症ではにおいが分からなくなったり、鼻汁がのどに落ちたりするといった症状があらわれることがあります。ですが、子供ではその状態を自分で的確に把握することが難しいため、これらの症状を訴えることは少ないでしょう。
鼻汁がのどに落ちてしまうと鼻水がいつも出ているという状態ではなくなることもあります。鼻水が大量に出ていなくても蓄膿症になっている可能性があるということを知っておくことが大切です。
子供の蓄膿症の原因としてあげられるもの
子供の蓄膿症の原因菌としてはインフルエンザ菌や肺炎球菌などが多くみられます。大人の蓄膿症では黄色ブドウ球菌による感染も多くみられますが、子供ではあまりみられません。かぜに続いて細菌感染が起こり、蓄膿症を引き起こすことが多いと言われています。
外傷による副鼻腔炎がうまく治らないと慢性化してしまうこともあります。疲労や睡眠不足などで抵抗力が落ちている時に発症することが多くなります。
子供の蓄膿症の治療方法
子供の蓄膿症の治療方法は外科的な治療、内科的な治療を並行して行います。
まずは鼻の中を洗浄したり、鼻汁を吸引したりして鼻の内部を綺麗にします。さらに抗生剤の入った薬液を霧状にして噴霧し、鼻と口にあてて吸入し、副鼻腔に直接薬剤を届けるネブライザーという治療を行います。
体の中に膿が溜まってしまうという病気ですので、抗生剤を内服し内科的な治療も試みます。どの抗生剤をどのくらいの期間飲むのが効果的か医師によって見解が異なることもあります。
複数の病院で同じ症状を診てもらうと、抗生剤の種類や服用期間が重なってしまうことがあります。抗生剤は適切に使用しないと耐性菌を作り出してしまうこともあります。
小児科や耳鼻科、内科などをかけもちする際には何の薬をどれくらい飲んでいたのかをきちんと把握して、医師に詳細を伝えるようにすることが非常に大切です。
蓄膿症の子供はホームケアが大切
蓄膿症は慢性的な疾患です。日ごろから適切なホームケアを心がけ、子供への声かけなどでケアの質を高めましょう。
子供が鼻汁をすすることで細菌が副鼻腔や耳に回りやすくなってしまいます。鼻汁はすすらないように指導し、こまめに鼻をかむように声をかけましょう。
鼻をかむ時には勢いをつけず、片方ずつゆっくりかむように教えてあげましょう。鼻をかむ際には口を閉じるようにすると上手に鼻水を出すことができるようになります。
うまく鼻がかめない時は吸引もおすすめです。子供用の鼻水吸引器も市販されていますので、鼻水をそっと吸引してあげると良いでしょう。
大人の場合、生理食塩水を使って鼻の中を洗浄すると症状が改善することがあります。しかし、小さな子供の鼻の洗浄は事故につながるケースもあるため、慎重に行う必要があります。
鼻の洗浄は自宅では行わず、耳鼻科にこまめに通って処置してもらうことも大切です。
まとめ
子供の蓄膿症の症状を知ることが早めの対処につながる
副鼻腔炎と蓄膿症
子供の蓄膿症のあらわれ方とは?
子供の蓄膿症の原因として挙げられるもの
子供の蓄膿症の治療方法
蓄膿症の子供はホームケアが大切