慢性的な疾患として 完治 は難しいとされる アトピー性皮膚炎 ですが、適切な治療法により、寛解する可能性はあります。特に、子どものアトピー性皮膚炎はその程度が中等以下の場合、完治する可能性が極めて高いと言われています。
完治の可能性がある子どものアトピー性皮膚炎に必要な治療法
アトピー性皮膚炎とは?
通常アトピー性皮膚炎とは、悪化や好転を繰り返す痒みを伴う湿疹が主となる病態のことを指します。子どもの場合、乳児期で2ヶ月、幼児期で6ヶ月の間、湿疹が継続して存在していることが確認できた時点でアトピー性皮膚炎と診断が下されます。
乳児期によくみられる乳児湿疹や脂漏性湿疹、あせもなどの湿疹は一過性のもので、皮膚科などの専門医であれば、その区別は容易にできると言われています。
また、アトピー性皮膚炎の患者はこの他にもアレルギー性鼻炎や結膜炎、気管支喘息などの免疫機能が過剰反応を示すことにより引き起こる疾患に罹りやすい傾向があり、これらの疾患を併発するケースも多くみられます。
アレルギー反応を引き起こすlgE抗体を産生しやすいなどの体質をアトピー素因と呼び、アトピー性皮膚炎を始めとする免疫系の疾患には体質や遺伝と言ったアトピー素因が大きく関与しています。
子どものアトピー性皮膚炎
早いと生後2ヶ月から発症するアトピー性皮膚炎の発症原因として一番大きいのが遺伝的要素になります。特に母親がアレルギー疾患を持っていた場合、高い確率で遺伝すると言われています。
しかし、アトピー性皮膚炎を持つ子どもの約15~20%は遺伝的要素がないにも関わらず発症しています。では、アトピー性皮膚炎はどのように発症するのでしょうか?
実ははっきりとした機序については未だ解明されていませんが、卵や牛乳などの食物やダニ、大気汚染、心理的要因などが複雑に絡み合うことで発症すると言われております。
子どものアトピー性皮膚炎は、適切な治療さえ受ければ、2歳~3歳までには100%と高い確率で完治する可能性があります。
ただ、1歳以降に発症した場合やジュクジュクの湿疹が全身にある、或いは、食物やダニなど複数の要因が絡み合い発症しているような重度の病態の場合は難治性になる可能性が高く、治療は長期に渡ります。
治療法
アトピー性皮膚炎の治療法は大きく3つに分類されます。まず、1つ目に保湿剤によるスキンケア、2つ目に抗原の特定と除去、そして3つ目に薬物療法があげられます。
アトピー性皮膚炎を持つ患者の症状の度合いや生活環境などの背景を考察し、これらの治療法を組み合わせながら適切な方法が選定されます。
子どもの場合、個々に合った保湿剤によるスキンケアに加え、乳児期の食物抗原の特定と除去、幼児期のダニなどの吸入抗原の除去が主な治療法になります。
食物抗原を除去する際は、母乳により抗原が赤ちゃんの身体に移行することがあるため、母親も抗原除去をせざるを得ません。
また、吸入抗原除去においては、対策をしっかり行っていても完全に除去することが難しいという問題があり、幼児期のアトピー性皮膚炎が難治性になる原因の1つとして考えられています。
薬物療法においては外用薬による治療が主になりますが、中度以上の患者には抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤などの内服薬を補助的に使用することもあります。外用薬にはステロイド剤などの消炎剤が使用されますが、このステロイドの使用には注意が必要です。
本来、外用薬による治療は個人で行うため、使用者がしっかりと自己管理していく必要があります。しかし、ステロイド剤においては恐怖心などから避けたがる傾向があり、適度な量と期間が守られないことが多々あります。
アトピー性皮膚炎の治療において大切なことは、迅速、かつ確実に炎症を抑えること、症状の度合いや部位により外用薬を適切に選択することです。医師の指示をしっかりと守り、適切なケアで治療を行いましょう。
新しい治療法
平成15年に子どものアトピー性皮膚炎の治療薬として発売されて以降、中度以下の症状を示す患者の治療にステロイド外用剤と並んで頻繁に使用されているのが0.03%プロトピック軟膏になります。
このプロトピック軟膏は、症状の改善が進むにつれ、肌へ吸収される量が減るという性質があるため、ステロイド外用剤に比べて副作用が少ないという利点があります。
しかし、炎症が強い場合、塗布後、局所のほてりやヒリヒリ感などの副作用がみられます。また、使用することでヘルペスなどの感染症が出現する可能性もあり注意が必要です。
ただ、適切に使用することで、副作用は少なく、有用性の高い外用薬になりますので、完治を目指す小児のアトピー性皮膚炎の新しい治療薬として中核をなしていくでしょう。
まとめ
完治の可能性がある子どものアトピー性皮膚炎に必要な治療法
アトピー性皮膚炎とは?
子どものアトピー性皮膚炎
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新しい治療法