お子さんが「 頭痛い 」「 気持ち悪い 」と訴えると重篤な病気ではないかと心配になる保護者の方もあると思います。子供の頭痛は軽症なものが多いと言いますが、どのような場合に要注意なのでしょうか。
悪心や吐き気など気持ちの悪さを伴う頭痛についてご紹介いたします。
「頭痛い」と「気持ち悪い」の意外な因果関係
注意すべき吐き気を伴う頭痛
子供はよく頭痛を訴えるものですが、症状は軽く、自然に治るものが多いと言われています。しかし、一方では直ちに対処することが必要な吐き気を伴う頭痛もあります。
髄膜炎
ご存知のように脳は軟膜・硬膜・くも膜という3つの膜に覆われていて、これらを総称して髄膜と呼んでいます。この髄膜に炎症を起こす病気が髄膜炎です。
特に肺炎球菌による細菌性髄膜炎には注意が必要だとされています。頭痛と吐き気の他に意識障害・発熱・うなじの硬直という髄膜炎の特徴的な症状がみられた場合は直ちに小児科を受診すべきです。
肺炎球菌とヒブワクチンの接種で予防することができます。
脳炎
水ぼうそうなどがこじれてしまい、ヘルペスウイルスが直接脳に炎症を起こす病気です。吐き気を伴う頭痛の他に意識障害や不可解な行動がみられた場合は直ちに小児科を受診すべきです。
頭部外傷
子供はよく転んだり、頭をぶつけたりするものです。頭部外傷によっても吐き気を伴う頭痛が起こることがあります。重症の頭部外傷は頭蓋内出血を引き起こすこともありますので、頭を打った場合には経過を注意深く観察する必要があります。
一般的には6時間以内におう吐を何回も繰り返すようであれば、頭蓋内出血の可能性があると言われています。けいれんしたり、顔面蒼白で意識が遠のくという状態であれば、直ちに脳外科を受診すべきです。
片頭痛による吐き気
子供の片頭痛は大人の片頭痛と少し異なっていて、頭痛の持続時間が2時間からと短いこと、頭痛の部位が前頭側頭部の両側性であること、腹部症状を伴うことが多いことが特徴的です。
片頭痛に関連する周期性症候群には以下の4つの症状がみられます。
周期性おう吐症候群
強い悪心と持続的・周期的なおう吐が特徴的です。発作の起きていないときにはケロリとしています。
腹部片頭痛
日常生活ができないほどの強い腹痛と食欲不振、おう吐などを伴います。腹部片頭痛のみられる子供はのちに片頭痛を起こすと言われています。
良性発作性めまい
数分から数時間続く回転性のめまいです。年少児では言葉でめまいの症状を伝えられないので、発作的な落ち着きのなさで保護者によってこの病気が発見されることがあります。
良性発作性斜頸
頭が左右どちらかに傾いていたり、ねじれたりする発作が毎月のように起こります。数分から数日間で自然に治りますが、良性発作性めまいや片頭痛に移行することもあります。
上述のような症状の他に光を眩しがる、音に敏感になるなどの行動で、言葉にあらわせない片頭痛と気持ちの悪さを訴えるようなこともありますので、注意深く観察してみましょう。
緊張型頭痛による吐き気
ストレスなどで心身に過度の緊張状態が続くことで起こるのが緊張型頭痛です。
昨今問題になっているのは、長時間にわたってゲームを続けることで同じ姿勢を保つ結果になって、背中や首が緊張してしまう子供の急増です。
ずっと下を向いてゲームをしていると首や背中の筋肉は重い頭を支えるために緊張してしまいます。子供は肩こりを頭痛として訴えることが多いと言います。
頭を何かで締めつけられるように痛む、めまいや吐き気を感じることがある、首の後ろが痛むなどの症状が緊張型頭痛の特徴です。
長時間、同じ姿勢をとらないことと、運動不足を解消することで治ることがあります。お子さんと生活習慣について話し合うことも必要でしょう。
頭痛につながる生活習慣
頭痛のある子供に何より大切なのは規則正しい生活リズムを刻むことです。睡眠不足も頭痛の大きな誘因になってしまいます。
また、長時間のテレビやゲームで眩しくチラチラする画面を観る習慣も問題です。
朝食をきちんと摂っていないと、血糖値が下がってしまい、午前中に頭痛になってしまうようなこともあります。
お子さんの頭痛のタイミングをよく観察して、生活全般を見直してみるとよいでしょう。
まとめ
「頭痛い」と「気持ち悪い」の意外な因果関係
注意すべき吐き気を伴う頭痛
片頭痛による吐き気
緊張型頭痛による吐き気
頭痛につながる生活習慣