アスペルガー症候群は高機能自閉症(知的障害を伴わない)・自閉症(知的障害を伴う)とともに広汎性発達障害と呼ばれています。また、これらの障害には明確な境界線がないスペクトラム(連続帯)であるとされています。
アスペルガー 症候群の 特徴 的な 顔 つきというものは存在するのでしょうか。
アスペルガー症候群の子供には特徴的な顔があるのですか?
アスペルガー症候群の子供の症状
アスペルガー症候群の子供は知能や言葉の遅れがないことから、低年齢のときにはアスペルガー症候群であることに気づきにくいと言われています。その上、知能が低いどころか高い場合も多いことが発見を遅らせる要因のひとつになっています。
アスペルガー症候群の子供がまず最初に「少し変わっている」と認識され始めるのは、保育園や幼稚園などの集団生活を始めたタイミングだと言います。
他人に関心がないので、ポツンと一人遊びを続けていたり、自分自身の強い興味のおもむくままに、他人の物を取り上げるなどということで集団から孤立してしまうことが出てきます。
小学生になると、「言わない方がいいこと」「相手が言外に求めていること」が幼いなりにわかってくるものですが、アスペルガー症候群の子供はそのように暗黙のルールをその場の空気を読んで理解することはありません。
そのために思ったままのことを口にしてしまい、友達を傷つけたりしてしまうことも起こってきます。
先生の話を聞かなければならない場面でも多動傾向のある子供は立ち歩いたり、教室の外に出てしまったりします。また、他の子が視界に入ると話しかけてしまったりもします。
アスペルガー症候群の子供の多くは姿勢の保持が苦手だという報告があります。姿勢の崩れには猫背やダラダラ歩きなどがあげられます。手先の器用さに欠け、運動も苦手だということが多いようです。
ただし、興味を持った事柄に関しては驚異的な能力を発揮することがあることがよく知られています。数字・記号・漢字など規則性のあるものに興味をもつことが多いと言われていて、自らの関心事に関しては大人も驚くほどの記憶力を発揮します。
アスペルガー症候群特有の顔つきはあるのか?
アスペルガー症候群がわかりにくい障害であることから、特徴的な顔つきがあればと考えるのは当然のことであるかもしれません。残念ながら、現在のところ科学的に証明されたアスペルガー症候群特有の顔つきといったものはないようです。
科学的に証明されていないにもかかわらず、アスペルガー症候群の子供に特徴的な顔つきがあると世間で言われるのはどうしてなのでしょうか。
ひとつには、アスペルガー症候群もその中に含まれる自閉症スペクトラム障害が染色体異常から発症するダウン症などの先天性疾患と混同された結果、アスペルガー症候群に特徴的な顔つきがあるという誤解を生んでいる側面があると考えられます。
ダウン症は21番目の染色体に異常がある先天性の障害です。染色体は体のつくりを左右しますので、ダウン症のお子さんは共通した体の特徴として似た顔つきになります。
同じく先天性の病気ではありますが、アスペルガー症候群の発症には染色体は関与していないのです。
また、アスペルガー症候群の子供の顔は端正でほりが深く、賢そうなことが多いという経験談をよく耳にするものですが、科学的な統計を経た話ではありません。
アスペルガー症候群特有の顔つきがあるとすれば、それはおおむね表情によるものです。話相手の表情を読み取ることが苦手なことから、うまく表情を作ることができず無表情になることが多いのもその一因です。
喜怒哀楽が乏しく、話を聞いていないのではないかととられることもあるほどです。逆に、年長児になると、表情によるコミュニケーションができないことを自覚して、常にニコニコしているというような場合も出てきます。
今後の研究に期待すること
2014年からアメリカのミズーリ大学の研究チームは自閉症の子供の顔のつくりについての研究を始めたと言います。臨床現場で自閉症の子供に共通した顔つきがあると感じていた医師が最新の3次元画像処理技術を使用して顔の3次元マップを作ったのです。
顔の中の17か所をマッピングしたところ、今までの統計処理ではわからなかった顔の特徴が明らになったと言います。
もし、この研究が進んでいけば、障害の早期発見のスクリーニングに活用したり、顔の特徴を発現させる遺伝子の解析によって病気の原因となる遺伝子を突き止める日がくるかもしれません。
ご存知のようにアスペルガー症候群は自閉症スペクトラム障害に包括されている障害です。このような研究がアスペルガー症候群の子供にとっても有益であることを祈ってやみません。
まとめ
アスペルガー症候群の子供には特徴的な顔があるのですか?
アスペルガー症候群の子供の症状
アスペルガー症候群特有の顔つきは
今後の研究に期待すること