アスペルガー症候群とADHD(注意欠陥・多動性障害)はいずれも発達障害で、明確な違いもありますが症状の出方によってはどちらなのかわからない場合があります。
違いがわかることによって理解が進み、対応ができる場合もあるので、 アスペルガー と ADHD の症状の比較をしてみました。
アスペルガーとADHD、違いがわかれば対応が変わる(前編)
アスペルガーとADHDの区別
アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の一種とされており、脳の前頭葉の下前頭回などの社会的な活動を司る部位に機能異常があるといわれています。
一方ADHDは、脳の前側にある前葉前野付近の働きの障害が関係していると考えられていますが、その原因はまだ明らかになっていないようです。
いずれも言語発達や知的な遅れはなく、それぞれの症状が重なる部分もあるので混同されやすく、専門家であっても区別が難しい場合があるようです。実際にどちらの症状もあると診断されることもありますが、それについても医師によって診断がまちまちです。
一方、「空気が読めない」といった一見同じようにみえる行動にも、アスペルガーとADHDの違いを知れば意識の違いがあることに気付く部分もあります。
アスペルガーとADHDの対人関係
アスペルガー症候群の特性として顕著なのが、自分以外の人の気持ちを想像できず、相手の立場で物事を考えることが困難であるという点です。この特性によって、「空気が読めない」と言われ、コミュニケーションや対人関係に支障をきたすことがよくあります。
社会的なルールやその場の雰囲気を平気で無視をしたような言動をとってしまうので、失礼な態度や発言とみられて相手を怒らせてしまうことがありますが、相手がなぜ怒っているのかがよくわかりません。
自分が他人にどう思われるかを気にする意識が低く、自分の思い通りに事を進めようとする傾向があります。
これに対してADHDは、他人の気持ちをくみ取ることはできます。ただ、衝動性を抑えることができず、順番を守れなかったり、人が話している最中にかぶせてしゃべりだしてしまったりするので、「空気が読めない」と言われたり、「人の話が聞けない」と評価されてしまうことになります。
他人が自分のしたことに怒っている理由は理解できるし、人と仲良くしたいという気持ちもあるので、「わかっているのに、またやってしまった」「うまく振る舞えない」などと自分を責めたり、対人関係に自信をなくしたりしがちです。
アスペルガーとADHDの集中力
「過集中」も、アスペルガー症候群の顕著な特性としてあげられます。好きなことや興味を持ったことにはまわりがみえなくなるほど夢中になり、高い集中力や記憶力をみせます。
法則性や規則性のあるものを好み、それが乱されることを極端に嫌う傾向があり、予測不可能なことには大きな不安を感じます。同じ行動を繰り返すことで安心感を得る人もいます。
計画的に行動することは比較的に得意ですが、急な予定変更やハプニングなどに臨機応変に対応することは困難です。また、一度に複数の課題を与えられると混乱することがあります。
これに対してADHDには「不注意」の顕著な特性があり、限られた興味のあることに対して集中することはありますが、あまり持続しません。同じ行動を繰り返し続けるようなことは苦手で、計画的に行動することも困難です。
生理整頓が基本的に苦手で、注意力が散漫になることが多いので、何かをやりっぱなしで放置したり、片づけられないことが多く、物事を忘れやすいので遅刻やうっかりミスをよく起こしてしまいます。
まとめ
アスペルガーとADHD、違いがわかれば対応が変わる(前編)
アスペルガーとADHDの区別
アスペルガーとADHDの対人関係
アスペルガーとADHDの集中力