「アスペルガーとADHD、どこがどう違う?(前編)」では、アスペルガー症候群とADHDとの対人関係や集中力における症状の比較をご紹介いたしました。後編では、 アスペルガー 症候群と ADHD の多動性と衝動性における症状の比較をいたします。
アスペルガーとADHD、違いがわかれば対応が変わる(後編)
アスペルガーとADHDの多動性と衝動性
アスペルガー症候群は、一つのことを保守的に続けることが多く、あまり多動性はみられません。ただし、幼少期・児童期に多動がみられることがあります。
これは、たとえば座って話を聞いていないといけない場面で、その状況が理解できず、いつまで話が続くのかわからなくて不安になって、動き回ってしまうといったケースです。
アスペルガー症候群は認知の能力に問題があるので、周囲が「言わなくてもわかるはず」と思うようなことが通用せず、駄目ということがわからずにやってしまいます。
多動性・衝動性はADHDにみられる顕著な特性で、じっと座っていることや黙っていることが苦手で、いつもそわそわと体を動かしていないと落ち着きません。新しいものにすぐ興味が移ります。
何かを思いついたら考えずに行動してしまうので、順番を守れなかったり、怒ると乱暴になって手をだしてしまったりします。
認知の能力には問題がないので、決められたことはわかっていますが、衝動性によってコントロールがうまくできないので、駄目だとわかっていても我慢ができなくてやってしまいます。
発達障害の子育て
アスペルガーもADHDも生まれつきの脳の機能障害ですが、接し方によってある程度は改善可能であるといわれています。逆にできないことを責めたり無理に矯正したりすると、悪化することもあります。
また、成長段階や生活環境、その日の体調によっても、あらわれる症状が違ったり変わったりすることもあるようです。
子供のときにADHDと診断された人が、成長してからアスペルガー症候群と診断しなおされるケースもあり、本人の状態を注意深く観察することが重要です。
アスペルガー症候群では好きなことをとことん伸ばすことで、自信を持って社会に出ていくことも可能です。
一度に複数の指示をせず、具体的な指示をひとつだけ与えることを繰り返すようにしたり、何時何分まで座って話を聞くといったルールを具体的に伝えるようにすると、理解や納得が得られます。
ADHDでは忘れ物をしないで済むような工夫をするなど、苦手な物事も時間をかけて習慣化していくことで、できなかったことができるようになることもあります。ADHDの多動性・衝動性は、ある程度成長すると自分でコントロールできるようになります。
いずれも、子育てをする側が自分の趣味の時間を確保するなど気持ちに余裕をもって、結果をあせらず、おおらかな気持ちで接していくことがとても大切です。
まとめ
アスペルガーとADHD、違いがわかれば対応が変わる(後編)
アスペルガーとADHDの多動性と衝動性
発達障害の子育て