自閉症スペクトラム障害の中でも、アスペルガー症候群や高機能自閉症は判別がとても難しい障害です。A病院では「アスペルガー症候群」と診断されても、B病院では「高機能自閉症」と診断される場合があります。ですが、これは誤診ではありません。
今回は、 アスペルガー 症候群を診断する難しさをご紹介します。
診断が難しいアスペルガー
本人も気が付かないアスペルガー症候群
そもそもアスペルガー症候群とは何でしょうか?最近、「大人のアスペルガー症候群」がよく話題になります。なぜ大人になるまで気が付かないのか不思議ですよね。
アスペルガー症候群は、言葉の遅れもなく知的な遅れもないため周囲から「少し変わった子。」と、思われがちですが障害を疑われるケースはあまりありません。ですので、本人も発達障害だと気づかず大人になってしまうケースが多いですようです。
ですが、小学校3年生頃から少しずつ生きにくさや他の子との違いを感じ始めるようです。
アスペルガー症候群ってなに?
アスペルガー症候群とは、自閉症と同様に社会性やコミュニケーション能力に乏しく、想像することや察することが苦手な障害です。また、「こだわり」が強く、融通がきかない点も特徴としてあげられます。
アスペルガー症候群の子供は、言葉の発達に遅れは認められないものの、独特な言葉づかいをし、まわりくどい話し方をします。周囲からは、「理屈っぽい子供」と思われがちです。
また、言葉を言葉通り受け取る傾向があるため、「まっすぐ帰ってきてね。」と、言えば直線ルートで帰ろうとしたり、「それ取って。」と、言えば「それ」の意味が分からないなど抽象的な言葉を苦手とする傾向もあげられます。
さらに、想像性に欠け、相手の気持ちやその場の空気を察することが難しいため、体の大きな人に悪気なく「大きいね。」と、素直に言ってしまうこともあります。
「こだわり」が強く融通がきかないという点では、物の置き場所や時間、予定などにこだわるあまりルールを守らないお友達を注意してしまいトラブルになることもあります。「こだわり」の強さはよく言えば真面目な子供なのですが、「融通」がきかない性格からお友達から敬遠される場面もみられます。
このような特徴から、成長するにつれ健全的な人間関係を築くことが難しくなりがちです。幼稚園や小学校の先生にも子ども同士の関わり合いが円滑でないときには、「声掛け」などの配慮をお願いし、子ども達が過ごしやすい環境を整えるようにしましょう。
アスペルガー症候群と高機能自閉症の違いは何?
幼児期は、発達の遅れというものが分かりづらい時期です。その時期に、アスペルガー症候群と高機能自閉症を正確に診断することは、とても難しいことです。
一般的に病院で質問される内容は、「言葉はいつ現れましたか?」という質問です。アスペルガー症候群も自閉症の一種ですので幼児期には自閉症と同じような特徴が現れます。
どちらの障害も幼児期には似た特徴を持ち、知的障害を伴わないという点から正確に診断を下すことは困難です。
一般的に日本のお医者さんは、言葉の現れた時期により診断を下す場合が多いようです。3歳前に言葉が現れればアスペルガー症候群、3歳以降に言葉が現れれば高機能自閉症と診断されます。
ですが、幼児期の子供は滑舌が悪く、身近に存在する人間にしか聞き取ることができない場合もあります。その場合、それを言葉として認めるかどうかは医師により判断が異なります。ですので、幼児期は特に医師により診断名が変わるといえるでしょう。
また、医師によっては高機能自閉症=アスペルガー症候群とし、本来は高機能自閉症であってもアスペルガー症候群と診断する医師もいます。
もし、診断が違っても大丈夫なの?
発達と共に2つの障害は、異なった特徴を強く現します。ですが、早期療育の観点から考えると必要な支援は同じですので幼児期において診断名にこだわる必要はないでしょう。
まとめ
診断が難しいアスペルガー
本人も気が付かないアスペルガー症候群
アスペルガー症候群ってなに?
アスペルガー症候群と高機能自閉症の違いは何?
もし、診断が違っても大丈夫なの?