アレルギー性鼻炎 の治療方法には抗原の除去や回避、薬物療法、 手術 療法、免疫療法があげられます。症状の程度により治療法が決まりますが、小児の場合は、通年で鼻詰まりの症状が酷い場合に手術療法が適用されることがあります。
アレルギー性鼻炎における手術の有効性
手術の意義
アレルギー性鼻炎の主な症状として鼻詰まり、鼻水、くしゃみがありますが、小児の場合は鼻詰まりが一番強く出やすい症状になります。
この症状がかなり強い場合に手術が勧められることがありますが、鼻詰まりの原因が単にアレルギー性鼻炎によるものではなく、鼻の奥のアデノイドと呼ばれるリンパ線の腫れや副鼻腔炎による複合的な要因が絡み合って起こっている場合、手術では症状の軽減がみられないことがあります。
また、手術療法はあくまで対処療法であり、根治できるものではありません。一時的でも鼻詰まりを軽減させ、煩わしい薬物療法から解放されるといった意味に置いては手術療法の有用性は期待できます。しかし、一度症状が緩和してもまた再発する可能性が高いことは否めません。
ただ、薬物療法でも効果がみられない重度の鼻詰まりに対する治療としては、手術がもっとも効果が期待でき、症状が再発したとしても、薬物療法の治療で正常に近い状態に回復させることができるという意味においては意義があると言えます。
小児の手術
アレルギー性鼻炎の外科治療としてはレーザーを含み幾つかの方法があります。
レーザー治療や化学焼灼術などの鼻粘膜の縮小や変調を目的とした手術、下鼻甲介粘膜切除術や下鼻甲介粘膜下骨切除術などの鼻詰まりの改善を目的とした手術、後鼻神経切断術などの鼻水や鼻汁の改善を目的とした手術があり、症状に合わせて医師と相談した上で治療法を決めていきます。
小児の場合、身体への負担や成長期の鼻を手術することへのリスクなどを考慮し、限られた方法での手術しか適応されません。
レーザー治療などの下鼻甲介粘膜変性術が主体になりますが、症状が重く、学業やスポーツに支障をきたす場合、顔面の骨格形成が十分であれば下鼻甲介粘膜下骨切除術や選択的後鼻神経切断術に踏み切ることもあります。
治療の必要性
手術を選択する場合、親は手術の有効性や安全性についてしっかりと考えて決めなければなりません。しかも、手術は対処療法にしかすぎません。術後の改善期間や効果には個人差があり、その有効性については一概には言い切れません。
長期の治療でも根気強く向き合うことはその後の症状を左右します。子どものアレルギー性鼻炎は治療次第で治ることも期待できるのです。この時期の手術を含めた治療法には慎重さが必要なものの子どもの心身の健康維持には有効性があると言ってよいのではないでしょうか。
鼻詰まりの影響
本人の体質にもよりますが、症状を放置するとアレルギーマーチといってアレルギーの症状が次々に形を変えながらあらわれるといった悪循環に陥ります。それに加え、子どもの成長過程における鼻詰まりは学習障害や睡眠障害など想像するよりもはるかに大きい弊害をもたらします。
中でも睡眠障害は、発達過程にある前頭連合野といって注意力や集中力、やる気、意欲などを司る、人として最も重要な部位に悪い影響を及ぼします。多動やキレやすい、怒りっぽいなどの攻撃的な性格形成に鼻詰まりが関与している恐れがあるのです。
また幼少期における前頭連合野の成長が鼻詰まりにより阻害されることは、子どもが本来持っている能力はおろか、本人の意と反する人生を送らざるを得ないという悲しい現実が待っています。
このようにアレルギー性鼻炎のもたらす影響は本人だけでなく社会的にも深刻な問題を及ぼします。たかが鼻詰まりと思わず、これらの影響を念頭に入れて子どもにとって最良の治療法を選択することも親の務めではないでしょうか?
まとめ
アレルギー性鼻炎における手術の有効性
手術の意義
小児の手術
治療の必要性
鼻詰まりの影響