ADHDと診断された場合、今後 ADHD と上手く付き合っていくためにも治療が必要となります。それでは、どのような治療を行っていくのでしょうか。 薬物治療 はするのでしょうか。
また、そもそもADHDの原因は何なのでしょうか。ADHDの原因と治療方法について詳しく見ていきましょう。
ADHDの原因と治療方法。薬を使った治療とは?
ADHDの原因
ADHDの原因を理解するには、まず情報伝達の仕組みを知らなければなりません。
通常、脳から出た神経伝達物質は、ひとつの神経細胞から次の神経細胞へ、そして、また次の神経細胞へと次々に受け渡されていきます。それが繰り返されることで脳からの情報が全身へと伝わっていくのです。
一つ一つの神経細胞はつながっておらず、受容体と呼ばれる入口に神経伝達物質が結びつくことによって、受け渡されていきます。受容体に結びつかなかった神経伝達物質は、トランスポーターに再吸収され、元の神経細胞に戻ります。このことを「再取り込み」と呼びます。
それでは、ADHDの場合はどうでしょうか。ADHDでは、神経伝達物質であるノルアドレナリンやドパミンに異常があると考えられています。
通常結びつくはずのノルアドレナリンやドパミンが上手く受容体に結びつかず、トランスポーターから過剰に再取り込みされてしまうのです。そのために情報伝達が上手く出来ず、ADHDの症状が現れると考えられています。
ADHDの治療方法
それでは、ADHDの治療にはどのような方法があるのでしょうか。
ADHDを根本から治療する方法はなく、治療の目的は、あくまで症状を改善することにあります。その方法として、薬物療法と心理・行動療法とがあります。
心理・行動療法とは、児童心理療法士によって行われる治療方法で、日常生活を送る上での困難を改善し、自己実現をしやすくすることを目的としています。
例えば、忘れ物が多い児童の場合、持ち帰る必要のないものは学校に置いてくるようにしたり、学校への持ち物を全て玄関など目につく場所に置いたりすることで忘れ物を減らすようにします。
思いついたことをすぐ口にしてしまう子供の場合は、思いついたことを一旦メモするようにしたり、何かを発言にする前に10秒数える習慣を身につけたりします。
このような個々の症状に応じた対処法を実践していくことで、症状が改善されることを目指していくのです。
心理・行動療法と並行して行われる治療方法に薬物療法があります。具体的にどのような薬を使用するのか、次の項目で詳しく見てみましょう。
薬物療法
ADHDの治療に使われる薬は、精神刺激薬と呼ばれる薬です。これは、ADHDの原因を取り除く薬ではなく、あくまでADHDの症状を改善させるための薬です。
現在、日本で使われているADHD治療薬には、メチルフェニデート塩酸塩徐放錠(商品名:コンサータ)とアトモキセチン塩酸塩(商品名:ストラテラ)の2種類があります。
これらの薬は、神経伝達物質を再取り込みするトランスポーターに結合することで神経伝達物質の再取り込みを抑制し、神経伝達物質が神経細胞の受容体に結びつきやすくします。
そうすることで、神経伝達がスムーズになり、ADHDの症状である不注意や多動性などを改善させることができるのです。
ただ、薬物療法には副作用もあります。最も現れやすい副作用は、食欲不振です。食欲不振により、子供の成長に悪影響が及んでしまうことがあるため、薬物療法を行う際には、必ず定期的に身長、体重を測定することが大切です。
その他の副作用としては、睡眠障害や頭痛、高血圧、うつ症状などがありますが、どれもまれに起こる副作用です。
まとめ
ADHDの原因と治療方法。薬を使った治療とは?
ADHDの原因
ADHDの治療方法
薬物療法