ADHDの子供の行動に困らされている親御さんや支援者の方、最も悩んでいるのは当事者である子供本人であり、支援や対策をする上で常に念頭に置いておくべきは、 ADHD の子は「困らせる子」ではなく「困っている子」という概念です。
ここではお互いが困らないための 対策 を考えていきます。
ADHDの子供、不適応行動への対策は?
PT(ペアレントトレーニング)の有効性
最近話題になることの多いPT(ペアレントトレーニング)ですが、すでに受講されたという方もいるでしょう。
ADHD児を支援するさまざまな団体、クリニックで実施されていますが、高額なことや平日の日中ばかりしか受講日がないこと、グループトレーニングが主なことから、日程が合わない、親同士のライバル心など、問題点もあるようです。
しかしながら、上手に受講して子供への支援につなげられたら大変有効です。
いきなり受講することに慎重な方はまずはマンガでよめるPT(ペアレントトレーニング)などの書籍がありますから是非お試しください。
PT(ペアレントトレーニング)は大雑把に言うと「褒め伸ばし」です。ADHDやその他の発達障害のお子さんは学校などの社会生活の中で叱られることが常態化しがちですが、PTを行うことで自己肯定感を伸ばし、将来的に二次障害や不適応行動を減らしていく目的があります。
実は天才的な才能を秘めたADHD児を、縮こまらせて才能の芽を摘まない、将来的に一流の仕事人にさせるという目的意識が支援者や親御さんにとっては大切です。
大変長い目が必要ですが、ADHD児にはこういったPTのような対策方法が効果的です。
他に長期的な対策としてはABA(応用行動分析)、SST(ソーシャルスキルトレーニング)、言語面の発達のゆっくりな子にはST(言語聴覚療法)を取り入れるなど、ADHDの子供それぞれの特性に合わせた療育を取り入れていきましょう。
体が動いてしまうことに対する対策
ADHDの子供は自然と体が動いてしまうことがあります。これは本人も自覚がない場合があり、一概に「動かないように。」と叱責することは何の効果も期待できません。
ADHDの子供は体を動かしていた方が作業効率が高くなる場合や、反対に、集中の度合いが高いほど体が動く場合がありますから、集団生活の中では、体の動かせる範囲を絞ってやることが対策として効果的です。
机の足元にネットを張り、「ここなら授業を受けながら足を動かしてよい」とする対策や、手元に常に「ストレスボール」を置いておき「授業中これなら手を動かしてよい」とすることなどで成功している例もあります。
家庭では、激しく動いてもケガをしない部屋を用意しておきましょう。また、壁などを多少壊しても「直せばいいわ。」と寛大に対応してください。唯一叱るべきは命に関わる危険な行動をした場合だけであることを心がけてください。
ADHDの子供が走りだした場合の対策と、忘れ物対策
ADHDの子供がパニックを起こして教室から走って出ていく、狭い場所に閉じこもってしまうなどの不適応行動を起こした場合の対策ですが、極端に言えば「ほおっておくこと」が肝要です。大きな声を出して追いかけることは、対策として効果的ではありません。
その代わり日ごろから教室から走りながら飛び出した場合を想定して、主事さんや支援員、保健の先生に目配りをお願いしておきましょう。家庭でも学校でも、パニック中は危険な場所まで行かないように、限られた範囲内でなるべく自由にさせてやりましょう。
そして自宅でも学校でも、その子のためのクールダウンのスペースを用意しておき、そのスペースを使い落ちついたら、パニック中の気持ちや原因を聞いたり、こちらの言い分を冷静に説明しましょう。
また、ADHDの子供は注意散漫のために、忘れ物、失くしものが多くあります。
授業の準備でしたら、教科書、ノートや資料など、一教科に必要な道具は一袋ごとにまとめておきます。百円ショップのチャック付き袋がちょうどよいです。そしてこのチャック付き袋には教科名と、中に入れるものを記しておきます。
これにより授業の忘れ物は格段に減り、翌日の準備の時間も減らせるでしょう。また、月並みですが、前日に必ず持ち物を準備させて親御さんが確認をしてください。
忘れ物をさせないことを毎日繰り返すことで自己肯定感が上がり、「どうせ自分なんてだめだ。」という意識を減らしてあげるために効果があります。
まとめ
ADHDの子供、不適応行動への対策は?
PT(ペアレントトレーニング)の有効性
体が動いてしまうことに対する対策
ADHDの子供が走りだした場合の対策と、忘れ物対策