ADHDとは不注意、多動性、衝動性といった症状があらわれる障害のひとつです。 子ども の ADHD とはどのようなものなのかをしっかりと理解し、大人が子どもとのかかわり方をひとつひとつ改善していくことが、日常生活の向上をはかる上でとても大切になります。
子どものADHDとはどのようなものなのでしょうか?
ADHDとは
ADHD(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)というのは、日本語であらわすと「注意欠如、多動性障害」となり、社会的な日常の活動や勉強などに支障が出るという障害のことです。自分自身をうまくコントロールすることができず、問題のある行動となってあらわれます。
文部科学省は平成15年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」という資料の中で、これらの症状は主に7歳以前にあらわれるとしていますが、アメリカの診断マニュアルでは診断年齢を12歳以前としており、幼少期に症状があらわれるとは限らないということがわかります。
ADHDは「注意欠陥、多動性障害」と訳されることが多かったのですが、2014年に日本精神神経学会でこの「注意欠陥」という言葉が「注意欠如」という言葉にあらためられ、現在は「注意欠如、多動性障害」とあらわすのが正式になりました。
ただ、「注意欠陥、多動性障害」という言葉のほうが広く知れ渡っており、名称変更になった事実はあまり知られていません。
ADHDの症状は大きく3つにわけられます。「不注意」、「多動性」、「衝動性」という3つがありますが、人によってこれらが均等にあらわれる人もいれば、不注意の症状がとくに目立つという人もいます。これらの3つがあれば必ず、ADHDであるというわけではありません。
ですが、これらの症状がみられ、まわりの人との関係を結ぶことがうまくできず、トラブルになりやすいという場合はADHDを疑ってみる必要があります。
不注意
不注意の症状では、「あるひとつの事柄に集中できず、また、集中力が続かない」という状態がよくあらわれます。自分のまわりの刺激に注意がいってしまい、やるべきことから意識が離れてしまうこともよくあります。
もちろん、普通の人でもぼんやりしたり、うっかりしたりすることはあります。ですが、ADHDの子どもの場合では、脳のワーキングメモリーが十分に働かず、今、自分がなにをしなければならないのかという判断がつかず、適切な行動をとることができないという結果に陥ります。
多動性
多動性は、意図せずに身体を動かしてしまい、その動きを抑えることができないといったようにあらわれます。じっとしていると落ち着かなくなり、自然と身体が動いてしまいます。
口の多動では、しゃべりだすと止まらなくなり、しゃべっているということを自分自身でコントロールすることができなくなります。
また、力の加減がわからなくなってしまうため、行動が過激になってしまうこともあります。遊んでいるときや運動をしているときなどにあらわれやすい症状のひとつです。
衝動性
衝動性は、今、この場でその行動をとってもよいのか、ということを考える前に行動を起こしてしまうというようにあらわれます。衝動的になり、自分の行動や発言を抑えることができません。
列に大勢が並んでいるのにもかかわらず、横から割り込んでしまうなど順序を正しく待つということができないのも、この衝動性によるものです。
子どもがADHDと診断されたら
少し前までADHDは親の育て方が悪いせいだといわれることがよくありました。ですが、現在では、ADHDは生まれつき脳の発達にかたよりがあるためではないかと考えられ、子育てやしつけに問題があるからではないと知られるようになってきました。
残念ながら、脳の働きを完全にするという方法は現在まだ見つかっていません。しかし、日常生活をスムーズに行うためのトレーニングをしたり、多動性などを抑えるメチルフェニデートやアトモキセチンといった薬を使ったりすることで、子どもが不自由に感じる瞬間を減らすことができるようになります。
子どもには「きちんとしなさい」というようなあいまいな表現ではうまく伝わりません。その場にふさわしい言動とはどのようなものなのか、その都度、わかりやすく、具体的に教えることによって、子どもも適応できる事柄が増えていきます。
正しい対応ができたら、しっかり褒めてあげることで、本人の自己肯定感も高まります。ADHDは人によって症状や程度に大きな差があります。それぞれのできることをしっかりと認めて、子どもが活躍できる場を少しずつ広げていくようにするとよいでしょう。
まとめ
子どものADHDとはどのようなものなのでしょうか?
ADHDとは
不注意
多動性
衝動性
子どもがADHDと診断されたら