子供が先天的に持って生まれてくる障害の1つに「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」というものがあります。ADHDについては認識されたのが約20年前のため、現在も研究が進められている段階です。
近年、大人のADHDも話題になることが増えましたが、 ADHD は 遺伝 するのでしょうか。
子供のADHDは遺伝によるもの?確率はどれくらい?
ADHDってどのような特性があるの?
学校の授業でもじっとしていられなかったり、みんなと一緒に最後まで授業に集中できなかったり、衝動的に行動をしてしまったり・・・という症状がみられる発達障害がADHDです。
いわゆる「空気が読めない」という行動が目立つため、まわりの子供との間でトラブルになることがあります。
また、ADHDの子どもを持つ保護者は「親のしつけがなっていない」「愛情が足りていない」「育て方が悪い」などと言われることが多いようですが、現時点ではそれらが原因でADHDになるとは考えられていません。
先天的に脳に機能障害がありADHDになっていると考えられています。
親やまわりの人たちが、子供の生まれつきの特性を理解し接し方を考えたり環境を整えることで特性が気になりにくくなります。また、子供自身もいろいろな場面を想定して人とのかかわり方を学ぶことで、困難を感じる場面を減らすことができるようになります。
ADHDは遺伝するの?
これまでの研究により、脳の機能障害は遺伝的要因が関係していると考えられています。そのため、ADHDの家族がいる場合には、ADHDの家族がいない場合よりもADHDの子供が生まれる確率が高くなると言われています。
これは、病気や障害を持っている親から子供に同じ病気になる遺伝子が受け継がれる「遺伝」とは少し違っており、周囲の環境にもある程度影響されるものと考えられています。
このため、ADHDは遺伝子による遺伝ではなく「家族性」による要因と生育の環境で発現するとされています。
家族性の要因というのは、「家系に糖尿病患者が多い」「視力が悪い家族が多い」など、遺伝子が原因ではなく「ほかと比べると、ある程度の傾向を強く持った家族が多い」という状態を指します。
家族にADHDがいると、どのくらいの確率で子供がADHDになる?
アメリカで行われた調査によると、両親のうちどちらかがADHDだという家庭の場合、子供がADHDになる可能性は最大で50%とされています。
また、両親ともにADHDという家庭の場合、子供がADHDになる可能性は最低で20%とされています。さらにADHDの兄弟がいる場合には、いない場合より5~7倍高い確率でADHDを発症するという結果も発表されています。
しかし、一卵性双生児は同じ遺伝子を持って生まれてきますが、2人ともがADHDになる可能性は80%という研究結果があります。ADHDの原因が遺伝ではないと言われるゆえんはこの研究によるものが大きいようです。
ちなみに、両親のADHD発症に関係なく、世界中で日々誕生している子供のADHDの発症率は約3~5%と言われています。
ADHDの発現を抑えるにはどうすればいい?
ADHDの発現は遺伝的要因もありますが、環境的な要因も大きく関係しています。そのため、家族にADHDの発症者がいても子供に発現する確率をある程度減らすことが可能ではないかと考えられています。
ADHDの発症者には以下のような環境が影響していると言われています。
- 出産前の母体がタバコ・アルコール・鉛などの摂取をしていた
- 低出生体重児で誕生した
- 誕生後、保存料・着色料などの食品添加物の含まれた食事を摂っていた
- 工業用の化学物質に低濃度でさらされていた
- 栄養不足である
- 胎児期に障害があったり、出産時に頭部に外傷があった
特に、上記「6」の要因があった場合には、要因がないよりも2倍以上の確率でADHDの発現がみられたという報告例があります。
まとめ
子供のADHDは遺伝によるもの?確率はどれくらい?
ADHDってどのような特性があるの?
ADHDは遺伝するの?
家族にADHDがいると、どのくらいの確率で子供がADHDになる?
ADHDの発現を抑えるにはどうすればいい?