愛着障害(あいちゃくしょうがい)という言葉があります。耳慣れない言葉ですが、文字どおり愛情に関することで起こる障害です。愛着障害は、生後から2歳頃までの育児環境の影響によって起こると言われています。 愛着障害 と ADHD は混同されることがあるといいます。
愛着障害とは、どういうものなのでしょうか?
ADHDと愛着障害について
愛着障害とはどういうもの?
幼い子供が不安や怯えを感じた時に安心するために親に近づきます。親は不安をもつ子供に抱っこしてあやすなどの行為で安心させます。そのことにより子どもは安心し親からの愛情を感じます。
愛着障害は、生後から2歳までの乳幼児期に虐待、育児放棄(ネグレクト)によって親から安定した愛情を受けられなかったことが影響して起こる障害の総称です。愛着障害にもタイプがあります。
愛着障害は、人との関わり方がわからないため、人との関わりを避け、自分の感情をうまく表現できません。または初対面の人相手に、距離感なく甘えてくるなど不安定な態度が目立ちます。これらに共通することは、愛着する人の対象や程度がわからないという点です。
生まれてからの環境で起こる愛着障害と、生まれつきの障がいであるADHD(注意欠陥多動性障がい)と混合されるのはなぜなのでしょうか?
ADHDと愛着障害の似ている点・異なる点
ADHDと愛着障害の子供が似ているというのは、衝動的な行動、過敏であり大人に対して反抗的な行動がみられます。愛着障害の子どもは、大きな理由が愛情の欠如です。ADHDと理由は異なりますが、他人とうまく関わることができません。
子供は親の愛を受けて育ちますが、様々な事情で愛情が受けられない環境にいると愛着障害が起こります。子供へ愛情を示す方法がわからない親もいます。原因はそれぞれ違いますが、不安定な環境で育てられたことは子供に大きな影響を与えています。
ADHDと違う点は愛着障害を起こしている子供は投薬治療がなく、生活や対人関係の改善によって大きく変わることが出来ます。とは言ってもADHDと同様、愛着障害も何もせずに治るものではありません。児童精神科などで診断・治療が必要です。
しかし育児に対して問題がある親が原因で起こる愛着障害です。ADHDのように親が子供の障がいに気がつき、診断を受け適切な治療を受けさせてもらえることは難しいです。
愛着障害でADHDが誤解されている?
ADHDが親の躾の問題だと誤解されているのは、 育児放棄や虐待で起きる愛着障害と混同されていることからくることが考えられます。愛情をもってADHDの子供を育て治療に努めている親にとって、その誤解は辛いものです。
逆に愛着障害の子供がADHDだと誤解されることもあります。いずれにせよ、世間のADHDと愛着障害に対する認識の低さが原因です。
成長するにつれ愛着障害を持つ子供は、人間関係でトラブルを起こしがちです。愛されない故におきることなのですが、起こすトラブルで余計に愛されにくくなる悪循環があります。子供に愛情をもって接することは、未来に大きく影響することがわかります。
愛情は大切なもの
愛着障害はADHDより近年になって研究が始まったものです。愛着障害を持っていると分からずに成人し、人生に苦しむ人が診察を受けて診断されるケースも多いです。
子供のうちに適切な対応をすれは、改善することも多い愛着障害です。ですが虐待や育児放棄をする親が自分のことで精一杯なので愛着障害に対する対応を期待できません。
ADHDも愛着障害も、子供たちにとって困った状態にあることには変わりありません。親や周りの大人の理解と対応が必要になります。子供は、愛情をもって育てられることが重要です。
まとめ
ADHDと愛着障害について
愛着障害とはどういうもの?
ADHDと愛着障害の似ている点・異なる点
愛着障害でADHDが誤解されている?
愛情は大切なもの