アデノウイルス結膜炎 は子供がかかりやすい感染症です。いろいろな結膜炎の中でもウイルス性の結膜炎はうつりやすいものですが、特にアデノウイルス結膜炎は感染の拡大に要注意であると言われています。
感染予防の方法も含めてアデノウイルス結膜炎についてご紹介いたします。
家庭内二次感染を防ぐのがポイントアデノウイルス結膜炎
結膜炎が多い理由
結膜とはまぶたの裏側と眼球の前方の表面をつないでいる薄い膜のことです。
眼球を上下左右に自由に動かすことができるようにと外部からゴミなどの異物が眼球の後ろ側に入り込まないようにという2つの目的のために、ぴったりと癒着せずに眼球と外部を隔てるという大切な働きをしています。
まぶたを開いている間中、結膜は外部に曝されていることになりますので、結膜炎の原因となるような刺激を受けやすいということにもなります。
さらに、常に涙液で濡れている状態は水分・温度・栄養という細菌やウイルスが増殖するための条件を備えているということにもなるのです。
眼科を受診する方の中で最も多いのが結膜炎である理由は、上記のような結膜の仕組みや特徴によって結膜にはアレルギーや感染による炎症が起こりやすいからなのです。
アデノウイルス結膜炎
アデノウイルスは風邪などを引き起こすウイルスで、51種類ほどの型が確認されていますが、その中のいくつかの型が結膜炎を引き起こします。アデノウイルスが原因となる結膜炎は流行性角結膜炎と咽頭結膜炎の2種類にわけられます。
「流行性角結膜炎」(はやり目)
アデノウイルス8型(他に19型、37型)という非常に感染力の強いウイルスが原因で、一般には「はやり目」と呼ばれる結膜炎です。
多くは8月を中心にした夏季に流行しますが、近年では通年でみられるようになってきており、明瞭な季節性を示さなくなってきています。
1~5歳児に多く発症します。
ウイルスに感染後、1~2週間の潜伏期間を経て、目ヤニ・充血・腫れ・痛みなどの症状が出ます。10日くらいで軽くなっていくのが通常のケースです。
片目だけに発症することが多いものの、両目に発症することもあります。耳の前のリンパ節の腫れや痛みを訴えることもあります。
治りかける頃に黒目の部分に点状の濁りが出ることがあり、その濁りが瞳にかかると濁りが消えるまでの間、視力が低下することがあります。
重症化すると、結膜炎が治った後にドライアイになったりするようなことがあります。
「咽頭結膜炎」(プール熱)
アデノウイルス3型(他に4型、7型)の感染で起こります。「プール熱」と呼ばれるのは夏季にプールの水を介して子供に感染することがよくあるためです。
昨今では温水プールの普及により、7~8月にピークを迎える流行の季節性が薄らいで、通年でみられるようになってきています。
ウイルスに感染後、5~7日の潜伏期間を経て、結膜の充血・目の痛み・目ヤニ・涙目などと共に、病名にあるように喉の痛みや発熱を伴い、風邪症状があらわれます。通常10日くらいで軽くなっていきます。
咽頭結膜炎の初期症状は39度前後の突然の発熱と喉の痛み、結膜の充血の3症状が重なる場合もどれか1つという場合もありますが、目の症状だけではないというのが特徴です。
また、熱がなかなか下がらないこともあり、年少児は痙攣や脱水症を起こしてしまうようなこともあります。
とりわけ、アデノウイルス7型が原因の場合、呼吸障害や細菌の二次感染を引き起こしやすいことがよく知られています。
アデノウイルス結膜炎を予防するには
アデノウイルス結膜炎の感染経路で最も多いのは接触感染です。感染者の目を触った手指やタオルなどを介して容易に感染します。その他にも咳やくしゃみによる飛沫感染、便中に排出されるウイルスに手を介して感染する糞口感染によっても感染すると言われています。
アデノウイルスは目の結膜だけではなく、口や鼻、喉の粘膜からも体に侵入します。
家庭内二次感染の予防策としては、感染者との密接な接触を避ける・タオルや枕などを共有しない・洗濯物を分ける・便やおむつはビニール袋に入れて密封して処理する・こまめに石鹸をつかった手洗いをする・子供がよく触るものは消毒するなどが考えられます。
アデノウイルスは症状が治まった患者の喉から7~14日間、便からは30日間にわたって排出されると言われています。症状が治まった患者からの二次感染を防ぐことが大切になってきます。
まとめ
家庭内二次感染を防ぐのがポイントアデノウイルス結膜炎
結膜炎が多い理由
アデノウイルス結膜炎
アデノウイルス結膜炎を予防するには