夏に多くみられる病気のひとつに、アデノウイルス感染症があります。 アデノウイルス 感染症は 症状 のあらわれ方が多様で、軽度なものから重症で入院が必要となるものまでさまざまなものがあります。
ウイルスの型によっては、夏だけではなく通年で流行しているものもあります。
51種類も型がある!アデノウイルス感染症は症状も多種多様
アデノウイルスとは
アデノウイルスは大きく6つの群に分類され、現在51種類の血清型が確認されています。これらの型はそれぞれ異なる性質を持っているため、感染する型によって症状が変わります。
たくさんの型があるので、同じ人が何度もアデノウイルス感染症にかかることもあります。また、アデノウイルスは免疫がつきにくいウイルスとしても知られ、同じ型に再度感染してしまうこともあります。
アデノウイルス感染症の代表的な病態としては、プール熱と呼ばれる咽頭結膜熱やはやり目と呼ばれる流行性角結膜炎などがあります。
この他にも肺炎や胃腸炎、膀胱炎などさまざまな症状を引き起こします。
咽頭結膜熱(プール熱)の症状
アデノウイルス3型、4型による感染で発症するのが咽頭結膜熱(プール熱)です。夏にプールの水を介して感染することが多かったため、通称がプール熱となりました。実際にはプールだけではなく、咳やくしゃみなどの飛沫からも感染が広がります。
潜伏期間は5~7日ほどで、発症する2日ほど前から他人へうつります。40度を超えるような高熱が出て、発熱は4~5日ほど続きます。その間、熱が上がったり下がったりを繰り返します。
扁桃腺が大きく腫れて、痛みを訴えます。下痢が伴うこともあります。人によっては、首のリンパが大きく腫れることもあります。結膜が真っ赤に充血して、目やにが出ることも少なくありません。
発病から1週間ほどすると症状が落ち着き、快方に向かっていきます。
流行性角結膜炎(はやり目)の症状
アデノウイルス8型、19型、37型が原因となり感染します。ウイルスのついた手や指で目をこすることでうつります。潜伏期間が長く、1週間以上になることもあります。
結膜と呼ばれる白目の部分が真っ赤に充血して、目やにが出ます。他のウイルス性の結膜炎よりも症状が重く、腫れや痛みが出ることもあります。
放置してしまうと、角膜と呼ばれる黒目の部分に炎症が広がり、異物感や痛みが生じます。角膜が混濁すると、何年も治らないこともあります。
角膜混濁は、視力障害を起こすことがあるため、できるだけ早く病院を受診することが必要です。
その他のアデノウイルスの症状
アデノウイルス7型による肺炎や40、41型による胃腸炎、11型、21型による出血性の膀胱炎などがあります。
この他にも、気管支炎や心筋炎、脳脊髄炎など多種多様な症状を呈します。これらの血清型に感染すると、時に重症となり入院が必要になることもあります。
よく似た症状を呈する病気としては、溶連菌感染症やインフルエンザ、マイコプラズマ肺炎などがあります。
アデノウイルスの治療法
アデノウイルスとその他の病気との識別を明確にするために、迅速診断キットを使ってアデノウイルスの確定診断を下すこともあります。
綿棒で目や鼻の粘膜を擦り取って、試薬に浸すことで、10分~15分ほどでアデノウイルスの確定診断ができます。
抗菌剤が有効になるような他の感染症ではないという識別ができたら、対症療法を中心にしたアデノウイルスの治療を行います。残念ながら、アデノウイルスには特効薬はありません。
高熱が続く時には解熱剤を用いて、体力の消耗を抑えます。脱水に陥った場合は、点滴をすることもあります。
結膜に強く炎症が出ている時には、ステロイドや抗菌薬の入った点眼薬を使うこともあります。点眼薬を使用する際は、炎症のある方の目だけに使用するのが原則です。
のどが腫れていて痛みがある時は、刺激の少ない嚥下しやすい飲食物を与えることも大切です。胃腸炎の症状がある場合は、整腸剤を使います。
アデノウイルスではどの血清型に感染しているのかは、症状を見て判断します。それぞれの症状に合った対症療法を行い、患者の痛みや辛さを軽減しつつ悪化させないように見守ることが大切です。
まとめ
51種類も型がある!アデノウイルス感染症は症状も多種多様
アデノウイルスとは
咽頭結膜熱(プール熱)の症状
流行性角結膜炎(はやり目)の症状
その他のアデノウイルスの症状
アデノウイルスの治療法