A~F群の6種類に分類され、51種類の血清型をもつと言われているアデノウイルスは咽頭炎・結膜炎・胃腸炎などさまざまな病気を引き起こすことがよく知られています。
今回は アデノウイルス が 目 に引き起こす病気についてご紹介いたします。
その目の症状はアデノウイルス結膜炎ではありませんか
子供がかかりやすいアデノウイルス結膜炎とは
結膜とは瞼の裏側と眼球の表面を覆っている半透明の膜のことを言い、異物の侵入を防ぐ働きをしています。外界と直接に接しているので感染症になりやすいく、炎症を起こすことも稀ではありません。
アレルギー性の結膜炎は他人にうつす心配はありませんが、ウイルス性のものは流行しやすいものです。中でもアデノウイルスは感染力が強いことから、アデノウイルスよる結膜炎は大流行してしまう可能性があるので注意が必要です。
アデノウイルスによる結膜炎には流行性角結膜炎(はやり目)と咽頭結膜熱(プール熱)の2種類があり、それぞれ別々の血清型をもったアデノウイルスによって引き起こされることがわかっています。
この2つは集団生活を送る子供の間で流行することが多く、家族間感染も多いことがよく知られています。単なる目の充血として軽視していると治るまでに時間がかかってしまうことがありますので、早めの対処が重要となってきます。
流行性角結膜炎(はやり目)とは
流行性角結膜炎は8、19、37の血清型のアデノウイルスが引き起こす、その名の通り、非常に流行性の高い結膜炎です。咽頭結膜熱(プール熱)より感染力が強いと言われています。多くは1~5歳の幼児に発症しますが、大人を含めてどの年齢層の方にも感染します。
以前は8月を中心にした夏に多くみられましたが、近年では通年にみられるようになっており、季節性がなくなってきています。
7~14日間の潜伏期間の後、結膜の充血・目の痛み・目やに・まぶたの腫れ・流涙の増加などの症状が出ます。
流行性角結膜炎は角膜の部分にも炎症を起こすことがあることから「角結膜炎」と呼ばれていますが、角膜(黒目の部分)に点状の濁りがでることもあります。また、眩しさを訴えるお子さんもあるようです。
アデノウイルスによる流行性角結膜炎は片目に発症することが多いとされていますが、両眼に発症することもあります。
10日くらいで症状は軽くなりますが、角膜に炎症が出るほど症状が重い場合には黒目の部分の点状の濁りが完全に消えるまで数か月を要するようなこともあります。
咽頭結膜熱(プール熱)とは
咽頭結膜熱は3、4、7の血清型のアデノウイルスが引き起こすプールの水を介して感染することがあるためにプール熱と呼ばれる感染症です。5歳以下の幼児の発症が6割を占めていると言われています。
以前は7~8月に流行のピークがありましたが、昨今では温水プールの普及により通年の発症がみられるようになってきています。
5~7日間の潜伏期間の後、結膜の充血・目の痛み・涙目・目やになどの症状がみられ、片目から両目にもみられることが多いものです。
咽頭結膜熱には目の症状の他に38~40℃の発熱や喉の腫れや痛み、リンパ節の腫れなどの症状がみられることが特徴となっています。また、咳・鼻水・腹痛・頭痛・食欲不振・倦怠感などの風邪症状を伴うことが多いとされています。
通常は7~10日程度で回復しますが、7型のアデノウイルスによる咽頭結膜熱の場合は呼吸障害や他の細菌の二次感染を起こしやすいとされていますので注意が必要です。
また、38~40℃の高熱が3~5日間も続くこともあるため、幼いお子さんのけいれんや脱水の症状にも十分な注意が求められます。
アデノウイルス結膜炎の予防法
アデノウイルス結膜炎の主たる感染経路は接触感染だと言われています。患部を触った手指が触れた物やプールの水などによって感染します。
例えばドアの取っ手などに付着したアデノウイルスは10日以上も感染力を失わないと言いますので、感染力の強さには用心が必要です。
咳やくしゃみなどによる飛沫感染も便中のウイルスが手から口に入る糞口感染もありますので、感染者との密着を避けることやタオルなどの共用を避けることなども大切です。
家庭での二次感染を防ぐには洗濯物も別にして、子供がよく触る箇所やおもちゃなどは消毒用エタノールもしくは次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒するようにするとよいでしょう。
看護にあたる保護者は手洗いとうがいを励行し、特に目を拭いたりした後は必ず石鹸と流水で手を洗うようにしてください。
まとめ
その目の症状はアデノウイルス結膜炎ではありませんか
子供が罹りやすいアデノウイルス結膜炎とは
流行性角結膜炎(はやり目)とは
咽頭結膜熱(プール熱)とは
アデノウイルス結膜炎の予防法