川崎病 は、全身の血管が炎症を起こすことで、発熱、発疹、リンパの腫れなどの 症状 を引き起こす病気です。高熱と咽頭の発赤が認められることから、初期には風邪と間違えられることも多い病気です。川崎病の特徴的症状が出揃う前に、いかに適切な判断を下すかが重要となります。
川崎病では早期発見、早期治療開始が急死を防ぎ、予後を良好なものにする鍵となります。
突然の発症で驚くことの多い子供の病気、川崎病の症状とは?
川崎病の症状
川崎病の主な症状は以下の6つで、この中の5つの症状が当てはまると川崎病と診断されます。多くは、1~2週間ほどで症状が治まってきますが、炎症の程度によっては1カ月程度長引くこともあります。
これらの症状は段階的に進行していくため、発熱した段階では、風邪やその他のウィルスと間違えらえることも多く、注意が必要です。また、川崎病を発症する患者の8割が4才以下の乳幼児であるため、症状を的確に伝えることが難しいので、確定診断を行うのが遅くなってしまうこともあります。
川崎病は全身の血管が炎症を起こすことから、以下の特徴的症状の他にも症状が出てくることがあります。腹痛や鼻水、下痢、関節痛など人によって症状はさまざまです。
5日以上持続する、原因が分からない発熱。
(但し、病院での治療により5日未満で解熱した場合も含まれます)
発熱は、最初にあらわれる症状です。突然、39度を超える高熱が出ます。抗生物質などの治療では5日以内の解熱はあまりありません。
両目の結膜の充血。
両側の白目(眼球結膜)の部分が、発熱後1日~2日ほどで充血してきます。目やにや痛みはありません。充血の発現が遅くなることもあります。
口唇が赤く爛れる、いちごの様な舌、口の中の発赤。
両目の充血や発疹が出るころに、唇が赤く爛れます。出血することもあります。口の中の粘膜が真っ赤になり、舌にはいちごの様な赤いブツブツができます。
皮膚の不定形発疹。
発疹は、発熱して2~3日で現れます。発疹には決まった特徴がなく、麻疹様、風疹様、蕁麻疹様など、様々な形であらわれます。大きさも一定ではなく、「不定形発疹」と呼ばれます。1日で消えてしまったり、癒合するものもあります。全身に赤みの強い発疹が出ると、熱湯のしぶきをあびて赤くなったような印象になります。
四肢末端の変化
急性期には、手や足がむくんで腫れてきます。症状が重い時には、硬性浮腫と呼ばれ、硬く、パンパンに腫れあがります。発症後、10日~15日ほどして他の症状が消えるのと同時に、手や足の指の先端、爪と皮膚の境目から皮がむけてきます。薄く細かくはがれる場合と広く膜の様にはがれる場合があります。
痛みを伴う首のリンパ節の腫れ。
首のリンパ節の腫れは、発熱時にみられることが多く、他の病気との区別のためにも重要な症状となります。熱を持ったり赤くなったりすることはありません。大きさは、程度によってさまざまですが、親指の頭くらいの大きさからウズラの卵大まで腫れることがあります。首のリンパ節の腫れがひどいと、首を動かすことができないほどの痛みがあらわれます。
不完全型(非定型)の川崎病
6つの特徴的症状のうち、5つ以上当てはまる場合に川崎病と診断されますが、症状が5つに満たなくても川崎病であるとされることがあります。これは不完全型の川崎病と呼ばれます。現在は、不完全型の川崎病の患者も多く、確定診断を困難にしています。
5つ以上の症状に当てはまらなくても、川崎病が強く疑われる場合は、血液検査の結果やBCGの接種痕の発赤などを総合して診断をします。また、エコーなどで心臓の冠動脈瘤や拡張などが見られる場合は川崎病として、すぐに治療を開始します。
川崎病での冠動脈異常
川崎病で最も危険な症状は、心臓へ通じる冠動脈の異常です。川崎病の発症後、1~3週間ぐらいの間に10~20%の頻度で冠動脈に動脈瘤が認められ、まれに心筋梗塞により突然死に至ることがあります。冠動脈瘤の半数程度は、1~2年ほどで退縮しますが、残りの半数はそのまま残ってしまいます。冠動脈瘤ができた場合は、発症から2~3週間程度で瘤の大きさがピークになるため、入院期間が長くなります。
冠動脈障害が治った後も、冠動脈の状態は成長と共に変化し、心臓障害のリスクが高くなります。退院後も定期的な検査が必要となります。
まとめ
突然の発症で驚くことの多い子供の病気、川崎病の症状とは?
川崎病の症状
不完全型(非定型)の川崎病
川崎病での冠動脈異常