肺炎 の診断は レントゲン と聴診が基本ですが、最初のレントゲンで異常なしでも安心とは限りません。病原体の潜伏期間が長い場合、数日後に異常が見つかることがあるためです。また、レントゲンだけでは原因が特定できず、血液検査等を合わせて総合的に判断が必要なこともあります。
家庭で知っておいてほしい知識をまとめました。
レントゲンだけではわからない 子供の肺炎とは??
肺炎の種類にはどんなものがある?
マイコプラズマ
小学生以上の子供の肺炎のほとんどは、マイコプラズマが原因で起こります。マイコプラズマはウイルスでも細菌でもない特殊な病原体で、季節や年代を問わずに人から人へと感染します。
よって、家族間や学校等の集団の中で流行しやすい肺炎です。大きさ、性質共にウイルスと細菌の間に属する病原体です。
他には乳幼児に多いクラミジア、ウイルス性、細菌性等があります。
クラミジア
大きく分けるとクラミジアニューモニア(肺炎クラミジア)とクラミジアトラコマティスと言う2種類の真正細菌に分類されます。
ニューモニアはマイコプラズマ同様に、年代を問わず人から人へ感染します。
トラコマティスは、クラミジアに感染している妊娠中の母親から赤ちゃんに産道をとおして感染します。従って、他の人に感染することはありません。
ウイルス性
RSと呼ばれるウイルスによるものが多く、他にはインフルエンザ、パラインフルエンザ等によって起こります。
細菌性
インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは別)が含まれます。
誤嚥性
飲食物が気管に残り、その細菌から起こる高齢者に多い肺炎です。
ほかにはカビ(真菌)によって起こる肺炎があります。
病原体の種類により症状は違う?
原因となる病原体の種類が違っても症状はどの肺炎も似ています。原因により程度が異なります。
マイコプラズマ
セキ、鼻水・鼻づまり、発熱等軽いカゼに似た症状です。痰は出ないか少ない量でセキは乾いています。
クラミジア
ニューモニア、トラコマティス共に症状は軽く、夜に乾いたセキが出ます。再発しやすいこともあります。また、大人の患者数はそれほど見られません。
細菌性
4種類のうち、最も症状が重い肺炎です。高熱が出て、痰は多く湿ったセキが出ます。
ウイルス性
症状は軽く、ほとんどの場合自然に回復します。
細菌性以外はどの肺炎も軽い症状ですが、重症化して命にかかわることもあるため、体力・免疫力のない小さい子供には特に注意が必要です。
すぐには確定できないマイコプラズマ
最初のレントゲンでは異常(炎症があると白く写る)なしでも、数日後に再度撮影すると異常=影が確認され、肺炎と診断されることがあります。この影は血液とガスを交換するの役割を担う肺胞が、浸出液で満たされた状態です。
また、最初に異常が確認されても、確定のためにマイコプラズマ病原体の検出か、血清抗体価の測定が必要です。潜伏期間が約3週間と長いため、どちらの検査もレントゲン同様に一回では異常が確認できないこともあります。
細菌性もレントゲンプラス検査
細菌性の場合はレントゲンに異常が見つかると、喀痰を培養して非細菌性か細菌性かを確定します。細菌培養以外では、白血球の数を調べる血液検査等でも診断可能です。
ウイルス性はレントゲンで診断可能
ウイルス性はレントゲンのみで診断できることもありますが、他の肺炎と同様に確定のため血液検査等を行うこともあります。
クラミジアも総合的に診断
クラミジアニューモニア、クラミジアトコマティスどちらの場合も、他の肺炎同様にレントゲンに加えて血液検査等で総合的に病原体を確定します。潜伏期間はどちらも約3~4週間です。
まとめ
レントゲンだけではわからない 子供の肺炎とは??
肺炎の種類にはどんなものがある?
病原体の種類により症状は違う?
すぐには確定できないマイコプラズマ
細菌性もレントゲンプラス検査
ウイルス性はレントゲンで診断可能
クラミジアも総合的に診断