中耳炎 の治療には、いろいろな 薬 が使われます。ごく軽い程度の中耳炎ですと、痛み止めだけで治ってしまうこともあります。
抗生物質は、適切に使用していかないと中耳炎が長引くだけではなく、その後、薬剤耐性菌を増やしてしまうことにも繋がります。医師の指示を守って服用するようにしましょう。
中耳炎の薬の特徴とはどのようなものでしょうか?
中耳炎の薬の役割
中耳炎の治療に使われる薬は、抗生物質、解熱鎮痛剤、抗アレルギー薬、去痰薬などがあげられます。鼓膜に穴が開いている状態ですと、点耳薬を使って、直接内耳の部分に薬を付けていくこともあります。
市販薬には、抗生物質や解熱鎮痛剤などが入っていることが多いので、重複して使わないようにすることが大切です。耳鼻咽喉科にかかる場合は、それまでに服用した解熱鎮痛剤などの市販薬の名前を提示できるようにしておくと安心です。
中耳炎に使われる抗生物質
中耳炎の治療に使われる抗生物質の中で、使用頻度が高いのはセフェム系の抗生物質です。メイアクト、トミロン、フロモックスなどがこれに当たります。
セフェム系の薬は、味が良く、飲みやすいので小児ではよく処方されますが、耐性菌を作りやすいというデメリットもあげられます。
古くからあるペニシリン系の抗生物質もよく使われる薬です。サワシリン、クラバモックスなどがこれに当たります。
滲出性中耳炎によく使われるのが、マクロライド系抗生物質です。クラリスやクラリシッドなどがこれに当たり、長期間少量で投与することがあります。これは、直接的な抗菌を目的としているのではなく、粘液の分泌を抑えて中耳炎の症状の改善をはかるものです。
マクロライド系の抗生物質は、セフェム系やペニシリン系の薬にアレルギーのある人でも使える薬です。
難治性の中耳炎には、ニューキノロン系のオゼックスを使うこともあります。比較的新しい薬で、抗生物質の中では強力な効き目があるとされています。
痛みを緩和させる解熱鎮痛剤
夜間、急に痛くなって子供が泣くこともある中耳炎には、解熱鎮痛剤が有効です。本人に処方されたものでしたら、すぐに飲ませてあげましょう。カロナール、コカールなどが飲み薬のタイプです。
上手に薬を飲むことができない小さな赤ちゃんには、アンヒバなどの坐薬を使っても良いでしょう。
解熱鎮痛剤は、指示された通りの服用間隔をあけて飲むことが非常に大切です。痛みが強いからと言って、量を多く飲ませたり、服用間隔を短くすることは厳禁です。
処方薬がない時は、市販の小児用バファリンなどでも大丈夫です。これらの薬はアセトアミノフェンですので、比較的安全に使えるとされています。
市販の風邪薬などにもアセトアミノフェンが入っていることがありますので、できるだけ同時には服用しないよう、注意が必要です。
悪化を防ぐための薬
滲出性中耳炎を放置しておくと、癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎へと悪化してしまうことがあります。これを防ぐために、去痰薬であるムコダインを服用することがよくあります。
この薬を服用すると、溜まっている液体を排出させる効果があるとされています。また、正常な粘膜分泌を促進させることから、鼻と耳の通りをよくする働きもあります。
中耳炎と耐性菌について
抗生物質を使っても、なかなか治っていかない場合は、耐性菌を疑います。中耳炎の原因菌として多いのは、肺炎球菌とインフルエンザ菌(インフルエンザを発症するインフルエンザウィルスとは別のものです)の二つがあげられます。
この二つの原因菌は、耐性菌が非常に多くなり、抗生物質の効きが悪いことが問題になってきています。小児の風邪や中耳炎の治療によく使われているセフェム系の抗生物質は、耐性菌を誘発することが多いと言われています。
そこで、古くからあるペニシリン系の抗生物質に脚光が当たりはじめました。2013年の小児急性中耳炎診療ガイドによると、アメリカではペニシリン系抗生物質が第一選択薬としてあげられているとのことでした。
日本では、それぞれの医師の診断状況によって、セフェム系、ペニシリン系、ニューキノロン系などの中からどれを選ぶかは異なっています。風邪やその他の症状によっても、選択する抗生物質は変わってきます。
信頼できる医師のもとで、正しく抗生物質を使用することが薬剤耐性菌を増やさないためにできることなのです。
まとめ
中耳炎の薬の特徴とはどのようなものでしょうか?
中耳炎の薬の役割
中耳炎に使われる抗生物質
痛みを緩和させる解熱鎮痛剤
悪化を防ぐための薬
中耳炎と耐性菌について